不動産を購入した時には色々な税金がかかってきます。
- 売買契約書に貼付する印紙代(印紙税)
- 不動産を所有権移転登記するときの登録免許税
- 不動産を取得した時に、都道府県から課される不動産取得税
不動産の評価額が高ければ、数十万円から百万円以上の不動産取得税がかかってくることもあります。
しかし、一定の要件を満たせば、登録免許税や不動産取得税の軽減措置を受けることが出来るのです。
軽減措置を受ければ、数十万円の不動産取得税がかからなくなる可能性があるということです。
こちらのページでは、不動産取得税の軽減について解説しております。不動産を購入される方はぜひご参考くださいませ。
1.不動産取得税の軽減
通常は取得した不動産を所有権移転登記してから数カ月後に不動産取得税の納付書が届きます。
印紙税や登録免許税は不動産の購入時にかかりますが、不動産取得税は取得してから数カ月後に納付書が遅れてやってきます。
不動産を購入するときには、物件代金や諸費用、印紙税、登録免許税だけでなく、購入後に遅れてかかる不動産取得税も気にしなくてはいけません。
不動産取得税とは
不動産取得税とは、不動産(土地・家屋)を有償・無償の別、取得の理由を問わず、
売買、交換、贈与、建築などによって取得した方に、土地・家屋それぞれについて課税される税金です。
不動産の取得とは、不動産の所有権を取得することで、登記の有無を問いません。
不動産取得税の軽減制度を知っていれば、一定の住宅や住宅用土地などを取得した場合、申告によって税額が軽減されることがあります。
東京都の場合には、不動産を取得した日から60日以内に土地・家屋の所在地を所管する都税事務所に申告する必要があります。
1-1.不動産取得税の税率
税率は下表のとおりです。
取得日 | 土地 | 家屋 | |
---|---|---|---|
住宅 | 非住宅 | ||
平成20年4月1日~平成30年3月31日 | 3% | 3% | 4% |
税額の計算方法は
課税標準額(※)×税率=税額
※平成30年3月31日までの特例措置として、宅地等の土地を取得した場合には取得した不動産の価格×1/2が課税標準額(調整価格)となります。
不動産の価格とは売買価格のことでなく、固定資産評価基準によって評価・決定された価格(固定資産税評価額)のことです。
都税事務所から納付書とセットになって送られてくる課税明細書には、取得者・取得年月日・取得原因・所在・地目・地積・価格・調整価格・軽減制度が適用された場合の内容等が明記されています。
税額の計算方法
実際に当社が古家付き土地の税額の計算方法です(課税明細書にも記載されています。)
・新宿区〇〇 (宅地) 地積50㎡ 価格2510万円
2510万円×1/2(調整価格)×税率3%=税額376,500円
・新宿区〇〇 (家屋) 床面積66㎡ 価格41万円
41万円×税率3%=税額12,300円
計388,800円が納付する税額となります。
1-2.不動産取得税を軽減してもらうための要件
新築住宅を購入した場合、中古住宅を購入した場合、住宅用土地を取得した場合には、一定要件を満たすことで軽減制度を利用できます。
・新築住宅を購入したときの特例
・中古住宅を購入したときの特例
・住宅用土地を取得したときの特例
新築住宅を購入したときの特例
下記の床面積の要件を満たすことで、特例適用住宅として軽減制度を利用できます。
下 限 | 上限 | ||
---|---|---|---|
一戸建の住宅 | 一戸建以外の 住宅(区分マンション等) |
||
貸家以外 | 50m2以上 | 50m2以上 | 240m2以下 |
貸家 | 50m2以上 | 40m2以上 | 240m2以下 |
新築未使用(特例適用住宅)を購入した場合には、価格から1200万円控除されます。
認定長期優良住宅の新築の場合には、1300万円の控除となります。
家屋の不動産取得税は、家屋の固定資産税評価額-1200万円×3%となります。
土地の不動産取得税は、①45,000円②1㎡あたりの土地の価格(※)×住宅の延床面積の2倍(200㎡が上限)×3%
①か②のいずれか多い金額を控除した金額となります。
※課税標準額で計算します。
中古住宅を購入したときの特例
要 件 | ||
ア 居住要件 ※ 取得時における家屋の現況が住宅であることが必要です。 |
個人が自己の居住用に取得した住宅であること
(なお、取得前に住宅以外であった家屋を住宅にリフォームする場合は、取得する前に住宅とするリフォームが完了している必要があります。) |
|
イ 床面積要件 | 50㎡以上240㎡以下(床面積要件の判定については『新築住宅の取得』と同様です。) | |
ウ 耐震基準要件 | 昭和57年1月1日以後に 新築されたもの |
左記の条件に該当しない住宅で建築士等が行う耐震診断によって新耐震基準に適合していることの証明がされたもの(なお、証明に係る調査が住宅の取得日前2年以内に終了していることが必要です。) |
(引用元:東京都主税局HP)
②控除額
新築された日 | 控除額 |
---|---|
昭和29年7月1日~昭和38年12月31日※ | 100万円 |
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日※ | 150万円 |
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日※ | 230万円 |
昭和51年1月1日~昭和56年 6月30日※ | 350万円 |
昭和56年7月1日~昭和60年 6月30日※ | 420万円 |
昭和60年7月1日~平成元年 3月31日 | 450万円 |
平成元年4月1日~平成 9年 3月31日 | 1,000万円 |
平成9年4月1日以後 | 1,200万円 |
※ 昭和56年以前の新築については、新耐震基準に適合していることの証明がされたものに限ります。
家屋の不動産取得税は、(家屋の固定資産税評価額-上記の控除額)×3%となります。
土地の不動産取得税は、①45,000円②1㎡あたりの土地の価格(※)×住宅の延床面積の2倍(200㎡が上限)×3%
①か②のいずれか多い金額を控除した金額となります。
※課税標準額で計算します。
住宅用土地を購入したときの特例
土地を購入してから新築予定の場合には不動産取得税の納税を猶予する制度があります。一定期間内に新築すれば、不動産取得税の軽減を受けられます。
また、古家付き土地を購入して、引き渡しを受けてから解体する場合に家屋の不動産取得税はかかりません。但し、都税事務所に申請書類を提出する必要があります。
1-3.不動産取得税がかからない場合
不動産を相続で取得した場合や公共のように供する道路を取得した場合には不動産取得税はかかりません。
但し、贈与で取得した場合には、不動産取得税はかかります。
1-4.特例を受ける場合に必要なもの
不動産取得税の軽減制度の適用を受けるためには、申告時に下記の書類が必要となります。
売買契約書
最終代金領収書
登記事項証明書
住民票など自己の居住の用に供することを証するもの
不動産取得税申告書
不動産を取得してから60日以内に申告する必要があるため、わからないことは早めに管轄の都税事務所に相談をしましょう。
さいごに
リフォームやリノベをする目的で中古住宅を購入する方も増えています。
耐震基準要件を満たさない昭和57年以前に建築された物件であっても、リフォームを行い耐震基準の適合証明を受けられれば、軽減措置を受けることが出来ます。
中古住宅を購入される方は、できるだけ収める税金を減らすための要件を理解しておきましょう。