法定外公共物(里道・水路)や認定道路の払い下げ

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払い下げとは、使われることがなくなった法定外公共物(旧里道・旧水路)などを国または市町村から購入することです。

里道(りどう)や水路は、赤道や青道とよばれることもあります。

法定外公共物・法定外道路は、道路法や河川法の適用がない認定外の公共物であって国または市町村が管理しています。

 

 

機能を有していない旧里道や旧水路(旧法定外公共物)は国が管理しています。

機能を有している里道や水路(法定外公共物)は市町村が管理しています。

 

平成12年に施行された”地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律”によって、機能を有している法定外公共物は平成17年3月31日までに市町村に譲与されました。

 

※すでに機能を有していない旧里道や旧水路は、現に公共の用に供されていなくなっています。

旧法定外公共物

引用元:旧里道・旧水路の管理・処分について

 

1.里道、水路とは

明治時代には道路は国道・県道・里道の3種類に分けられていました。

里道とは、明治時代に適用されていた道路の1つなのです。

 

大正時代になって旧道路法が施行されてから都道府県道や市町村道・国道などに分けられましたが、一部の里道はそれらの道路にも適用されずに残ってしまいました。

取り残されてしまった一部の里道は、今も里道として法定外公共物になっています。

水路とは、一級河川・二級河川又は準用河川以外の河川のことで、普通河川や青道などとも呼ばれています。

 

里道(りどう)や水路は、道路法・河川法等の公物管理法の適用がありません。

しかし、下記のような里道は生活道路としての路地道・便利道等としての利用も期待されていて、立派な公共用物といえます。(法定外公共物)

里道

小平市の里道

 

水路(法定外公共物)

水路

 

1-1.払い下げの手続きをするには

旧法定外公共物は財務局及び財務事務所が管理しているので、もしも境界確定や購入手続きをする場合には最寄りの財務局・財務事務所へ問い合わせをすることになります。

ただし、市が窓口となって払い下げの協議も出来るようになっているため、わからなければ市町村の担当課(道路課や用水課)に行って相談をしてみることです。

現に公共の用に供されている里道や水路でも、道路や水路を付け替えることで払い下げ(売り払い)ができることもあります。

 

また払い下げの手続きを行うにあたって、下記の要件を満たしている必要があります。市町村によって要件が異なりますので、直接窓口で確認をしましょう。

・払い下げの対象地が、所有している土地と接している

・隣接土地所有者や関係者の承諾があること(又は他に買取希望者がいないか)

・払い下げは実測面積による(境界確定や確定測量が必要になり、費用は申請者負担)

・払い下げによって無道路地が発生しないか

払い下げをうけるにあたって、境界確定が必要となりますので土地家屋調査士に依頼する必要があります。

 

1-2.認定道路の払い下げ

認定道路(市道など)が機能を失い,一般の通行の用に供する必要がなくなってる場合には、払い下げができることもあります。

その認定道路を利用している関係者と隣接土地所有者の承諾は必要となります。

 

認定道路の払い下げの流れ

事前相談

境界確認、境界確定

認定道路の廃止申請

払い下げの申請

土地売買契約・所有権移転登記

 

境界確定や隣接地の方の同意を得れなければ、払い下げの手続きは出来なくなってしまいます。

 

1-3.私有地との境界確定

旧法定外公共物や認定道路に接している隣接地の方も、境界立会いをする必要があります。

隣接の土地所有者が故人であれば相続人に連絡をしなければいけませんし、

破産者となっていれば破産管財人等に相談をしなくてはいけません。

海外に移住している方や遠方に住んでいる方だと、中々連絡がとれないこともあります。

隣接の土地所有者が住所変更登記をしていなく本人の行方がわからないこともあるため、土地家屋調査士に依頼、及び法務局に相談をしたほうが早いでしょう。

 

隣接地の方の行方がわからない⇒土地家屋調査士に依頼する

隣接地の所有者の立会いの協議が不成立になってしまった⇒筆界特定制度や境界確定の訴えなどで確定する

隣接地の所有者が立会いに応じてくれない⇒市町村または国に境界査定申請書を提出する、または筆界特定制度や境界確定の訴えなどで確定する

 

1-4.払い下げはどれぐらいの価格になる?

払い下げの価格は、周辺の取引事例や路線価を基準とします。

所有権移転登記等にかかる登記費用や不動産取得税、境界確定の費用も申請者の負担となります。

価格が決定すると、市町村から申請者あてに価格の決定通知書が送付されます。

 

取得時効について

敷地内に旧里道や旧水路があって、取得時効の成立が認められたケースもあります。

下記はその一例です。

昭和51年12月24日 最高裁判決

公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されることもなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなつた場合には、右公共用財産について、黙示的に公用が廃止されたものとして、取得時効の成立を妨げない。

引用元:最高裁判例

但し、裁判などの費用や日数を考えると、素直に払い下げ申請を行ったほうが良いでしょう。

 

1-5.再建築不可が建築可能になる?払い下げのメリット

自己の土地との一体利用を図るための払い下げが出来れば、払い下げの手続きをとるべきです。

未接道の敷地や接道間口が足りない敷地の場合、払い下げを受けることで再建築不可の土地が建築可能になることもあります。

また敷地を分断するように国有地がある場合でも、払い下げの申請ができます。そのままでは建て替えも出来ず売却しようにも出来きません。

払い下げによるメリットがあれば、行っておくべきです。

 

※脱落地とは

旧里道・旧水路のほかにも、国有地として脱落地があります。

脱落地とは、公図上無番地であって所有者がいない土地のことです。(里道や水路を除く)

脱落地は、その位置、面積、形状などによって売払な どの処理方法が異なり、隣接地の方に払い下げすることもあれば、入札により払い下げをすることもあります。

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