建て替えができない再建築不可物件だからこそ、リフォームをして、不安が残らないように構造にしたいという方が大半です。
予算に問題がなければ、見えない部分や隠れた部分等、構造補強をしっかり行って倒壊リスクが残らないようにしておきましょう。
リフォーム内容はピンキリです。リフォーム内容や建物の状態によっては建物を新築する以上に費用がかかることがあります。
目次
1.再建築不可物件をリフォームする
再建築不可物件は建て替えができないので、リフォームをして家を長く丈夫に使っていくことになります。
自治体によっては43条但し書き許可の要件が異なる為、再建築不可物件を建て替えできる可能性もあります。
但し、未接道や接道幅が狭い物件の場合には単独での建て替えは現実的に難しく、また隣地や周辺の家は古家が多く、隣地の購入や土地を借りる相談は難しいです。
再建築不可物件はリフォームして解決するのが早いかもしれません。
1−1.リフォーム内容はピンキリ
リフォーム内容はピンキリです。
先にリフォーム予算を決めるべきか、それともリフォーム内容を決めるべきか、再建築不可物件を購入した方は迷ってしまうかもしれません。
古家の場合には解体をしてみたら予想以上に柱や床下、下地が傷んでいることも多く、予算オーバーがしやすいです。
建物の大きさや築年数、老朽度、土地の状況によってはリフォーム業者がリフォーム依頼を断ることもあります。
建物の大きさ・・・リフォーム面積やリフォーム箇所が増える為、予算が上がります。
築年数・・・旧耐震基準や築古物件は耐震補強が必要です。また修繕歴がない物件はフルリフォームの必要があります。
老朽度・・・老朽化してる物件は見えない隠れた部分の劣化や腐朽が多いです。解体や補強、新設作業が必要です。
土地の状況・・・敷地の大きさや接道してる道路の広さです。敷地や道路が狭いと資材の搬出入や足場設置、リフォーム作業が難しくなります。
古家や再建築不可物件の場合には、表層の個所(内装や設備、外壁、床・壁・天井)だけリフォームするのはやめておきましょう。
水まわり設備だけを最新の設備にリフォームするにしても解体工事や水道工事、電気工事が伴います。
数年後に建物に不具合が起きてしまったり、生活に不満や不便を感じることで、あの時に下地や床下も含めてフルリフォームしておけばよかったと後悔するかもしれません。
また地震などの災害時に建物が倒壊してしまわないように、見えない箇所こそ、しっかりリフォームをしておくべきです。
- 基礎
- 屋根
- 外壁
- 内装
- 建具や開口部
- 水まわりの設備
- 外溝
再建築不可物件 築40年 木造2階建て20坪住宅をリフォームする場合
例1 なるべく予算を抑えて500万円でフルリフォーム工事
全部屋をフローリング工事、収納はクローゼット工事、壁・天井はクロス工事
水まわりの設備(キッチン、トイレ、ユニットバス工事)、外壁塗装工事、屋根葺き替え工事、給排水管取替え工事、サッシ工事、玄関ドア工事
外観内装ともに綺麗で設備も向上。耐震補強や大がかりな床下補強工事などは含んでない為、耐震性の向上は低い
またサッシ工事したことで断熱効果は上がるが、断熱材は入ってないため一般住宅に比べて断熱レベルは低い
予算が500万円にして十分に住めるリフォーム工事にしました。リフォーム資金の余裕ができた時にこれから補強工事をしていきたいところです。
例2 耐震補強、基礎や土台の補強を一番重要として1000万円にてフルリフォーム工事
全部屋をフローリング工事、収納はクローゼット工事、壁・天井はクロス工事
水まわりの設備(システムキッチン、トイレ、ユニットバス工事)、外壁サイディング工事、屋根葺き替え工事、給排水管取替え工事、サッシ工事、玄関ドア工事
耐震補強工事(筋交いや金物、構造用合板の設置)、基礎・土台の補強工事、断熱工事
柱を残してのフルリフォーム作業をしました。腐朽してる柱や梁は一部取替え、床下の基礎や土台も新設・補強工事
水まわりの設備は最新の設備に。まだ安心して30年、40年と問題なく快適に住むことができる理想のリフォームを実現
1−2.安心して任せられるリフォーム業者えらび
きちんとした見積書を作成してくれたり、打ち合わせ時のアドバイスをくれるリフォーム業者が望ましいです。
再建築不可物件や古家の場合には、在来工法のお風呂をユニットバスにリフォームするにしてもカタログを持参するだけの業者は良いとは言えません。
土台や柱などが傷んでいた時の対処法や施工方法までアドバイスしてくれる業者のほうが、施主にとっては良い業者といえるでしょう。
表層工事だけでなく、再建築不可物件にいたっては構造体に問題があるかどうか見極めて構造補強や耐震補強をしっかり考慮してくれる業者が良いでしょう。
- きちんとした見積書を出す業者
- 契約前や契約時の商談や打ち合わせに時間をしっかり割いてくれる業者
- 会社の規模(資本金や営業年数、建設免許の有無)
- 良いアドバイス、悪いアドバイスを細かくしてくれる業者
- 再建築不可物件の施工実績が多い業者
1−3.費用がかかる工事
フルリフォーム工事の中で、もっとも費用がかかる工事は耐震補強工事や基礎・土台工事です。
旧耐震基準の古家の場合には、耐震指標1もしくは0.7以上になるための耐震工事となると400万円から500万円以上かかることが多いです。
自治体によって耐震改修工事の助成金の仕組みは異なりますので、ぜひ活用しましょう。
耐震工事は床や壁などを解体しますので、フルリフォームの際に行っておくべきです。
1−4.再建築不可物件の良さ
再建築不可物件は中古一戸建てとして売りに出されていることが多いです。
周辺物件より安く売りに出されているため、東京都内では安い住宅を探してる方や投資家の方から人気ある不動産となっています。
・古家付き土地を購入して更地にしてから新築する
・再建築不可物件を購入してフルリフォームする
物件価格次第では再建築不可物件は非常に魅力的となります。
2.新築同様にフルリフォーム
建て替えができない物件だからこそ、新築同様にフルリフォームできるのであれば持ち主からしたら嬉しいところです。
外壁材や屋根材、内装材に関しても大手メーカーや中小のメーカーがオリジナル商品を出している為、カタログやインターネット・ショールームで個人の方が選びやすくなっています。
水まわりの設備に関しては15年、20年前に比べて毎年開発された商品が出ているため機能や性能が格段にアップしています。
40年前から50年前に新築した当時の状態よりも満足感が得られる建物に再生できます。
2−1.建て替えのほうがラクと嘆く現場職人
建て替えができたら、どんなにラクかと嘆く現場の大工さんや職人さんは多いです。
再建築不可物件だからこそ、リフォームで再生するしかないのです。
築年数40年から50年超えてるような物件は地盤が軟弱であることも多く、再建築不可物件の購入を検討してる場合には基礎や柱がしっかりしている物件にしましょう。
建て替えなら重機で一気に解体できるのですが、リフォームでは手作業の解体となります。
また再生利用可能の木材・構造材か確認しながら現場で調整しながらリフォーム工事をしていきます。
新築に比べて手間が2倍から3倍とかかるため、新築同様に構造補強から設備や内外装工事をしていくとなると新築よりコストが割高になることが多いです。
2−2.建替えにかかるコスト
建替えにかかるコストは一概にいえません。建築費や解体費の他に、思わぬ費用(地盤改良・外構工事)に結構お金がかかってしまうことがあります。
上記の解体費や建築費、付帯工事費などを含めたトータルの建替え費用は坪単価60万円から100万円が平均費用です。
その他にも仮住まいが100万円から200万円かかります。
古家の場合には地盤が軟弱であることが多い為、建て替えするにしても30坪の場合には2000万円から2500万円かかる場合があります。
2−3.1000万円を超えてしまうリフォーム金額
築年数40年から50年を超えた30坪の木造住宅の場合にはフルリフォームの金額が1000万円を超えることは多いです。
坪20万円から25万円といったリフォームパックが大手リフォーム会社から中小のリフォーム会社で広告されていますが、そのようなリフォーム内容は表層リフォームが多いです。
坪20万円から25万円のリフォーム内容としては下記の内容が多いでしょう。
外壁・屋根は塗装、サッシは一部交換、内装は重ね貼り、張り替え、設備交換、補強工事一部
坪40万円から60万円のリフォームでは1000万円を超えてしまいますが、新築同様にリフォームする為、古家を安心してリフォームできます。
外壁・屋根は交換、サッシは全部交換、内装・下地材は交換、設備は最新のものに交換、耐震補強工事、基礎・土台工事、断熱工事
2−4.85点の出来で満足する
リフォームは新築とは違うため100点満点の出来にするのは難しいです。
お客様の予算や希望のリフォーム内容に応じて、リフォーム業者と打ち合わせの中でプランニングをしていくのです。
リフォームを成功させるコツは家の中で不満を持ってる箇所、リフォームしたいと思った動機、リフォーム優先順位などをはっきりさせることです。
理想をあげればきりがなくなってしまうことがあります。予算300万円ではフルリフォームはできません。リフォームには大工や職人の人工代もかかるからです。
2−5.妥協しないフルリフォーム
数十年に1回、いや人生に1回しかフルリフォームを行う機会は中々ありません。
数年おきに劣化箇所を修繕や小規模リフォームをしていくことはあるでしょう。
フルリフォームを依頼するときにはフローリングや壁・天井、水まわりの設備・システムキッチン・ユニットバス・トイレから玄関ドアや外観、屋根、サッシ、建具まですべて選ぶことになります。
後で後悔しない為にもじっくりと時間をかけて打ち合わせや商品を選びましょう。
3.リフォームで失敗しないためにも
リフォームで失敗しない為に、適切なリフォーム業者を選び、自分にあったリフォームをしてもらうことが大事です。
特に築年数が古い住宅の場合には、見栄え目的のリフォームプランや表層リフォームだけをすると危ないです。
古家に限っては、構造補強や床下補強は必要です。
3−1.土台や床下を腐朽したまま、表面だけのリフォームしない
建物の中で一番大事な箇所であり、普段点検しづらい箇所でもあるため、必ずリフォーム時には点検をしておきます。
土台が腐っているのに表面だけリフォームしては無駄なことになってしまいます。
建物全体の床下、特に水回り箇所の床下は腐朽してる可能性は高いです。築年数が古い物件の場合には床のフローリング工事をする際にも床下工事をしておかないと危ないです。
- 基礎の劣化や軟弱地盤の調査
- 束石、床束、大引、根太の状態
- 床下の柱や土台の腐朽
- シロアリの有無、駆除や対策
- 床下の環境整備(通風口の確保や換気対策)
3−2.旧耐震や未登記増築された建物は要注意
未登記で増築された建物は構造計算されていなく壁の位置や量など適切に配置されていないことが多いです。
そのような建物はリフォーム時に適切な位置に壁の配置をする必要があります。
また旧耐震は筋交いが入っていない家もあり、地震時の倒壊の危険があります。基礎や不同沈下なども心配です。
まずは耐震診断や建物診断を受けてみることをお勧めします。
3−3.見積もりは細かくチェック
リフォーム業者から契約前にもらう見積書は細かくチェックしましょう。
一式表記に要注意です。
具体的な材料や単価、面積、使用量、作業内容がわからないと手抜きリフォームの要因につながります。
また複数のリフォーム業者に見積もり合わせをお願いすることで工事費用の目安を知っておくことができます。
またリフォーム規模が大きい場合には契約の際に見積書だけでなく、契約書、工程表、図面、仕様書などは受け取っておくことです。
3−4.リフォームは家族で真剣に話し合う
やっておけばよかったと後でリフォーム内容に後悔してしまわないように、家族でリフォームについて真剣に検討する必要があります。
実際に1日の家族のライフスタイルや動きを確認してみましょう。
リフォームの本などに掲載されてる理想のスタイルを要望にするのは簡単ですが、
自分たち家族がどんな生活をするのかがリフォームのポイントです。
4.こだわりのリフォーム案
ただ、リフォームするだけでなく、こだわりのリフォームや斬新なリフォームをされる方もいらっしゃいます。
せっかくお金をかけて家をリフォーム・リノベーションするのであれば、とことんリノベーションしたいものです。
4−1.外溝や庭をお洒落に
東京23区の建売住宅の多くは庭が小さい、庭がないのです。
再建築不可物件も、庭が小さい、庭がほとんどないことが多いです。
猫の額ほどの庭だからこそ、立派なスペース・お洒落なスペースにしたいものです。
猫の額ほどの庭、狭い通路スペース、窓越しの風景、小さな玄関前の空間、軒下の空間
1本の樹木だけでも見栄えは良くできます。
また再建築不可物件にありがちな狭い通路スペースには飛石や敷石、化粧砂利を敷いたり、下草をそえると見栄えが格段に上がります。
4−2.床、壁や天井
自然素材や国産の木材をふんだんにつかってウッディな空間をつくる方はいます。
マイナスイオンたっぷりの柔らかな空間に。
床や壁・天井にはスギの木、トイレはヒノキをつかうことで森林浴の気分をあじわえます。
またリビングから庭を眺められるため、庭にはウッドデッキを設置。
東京都新宿区のど真ん中にある再建築不可のお家とは思えない、都会のオアシスのお家に仕上がった物件もございます。
4−3.水まわりの設備や建具、開口部
水まわりの設備や建具、開口部、玄関ドアはその家の印象をガラッと変えます。
温泉旅館のようなお風呂、ガラス張りの浴室、ホテル仕様の浴室、ラグジュアリーな洗面所、ステンドグラスを入れ込んだドア
知人や友人を呼んでも恥ずかしくないオープン型の豪華なシステムキッチンにリフォーム
自分好み、家族好みの設備や建具、ドアにリフォームしましょう。
5.診断や調査を受ける
1981年以前の建物は大地震が起きたときに倒壊する可能性があります。
また今まで外壁や屋根、軒裏などリフォームをされていないのであれば防火構造になっていなく火事に弱い家の可能性が高いです。
古い住宅の場合には、リフォーム会社の建物調査とは別で第三者機関による建物の精密診断や耐震診断を受けておいたほうが良いかもしれません
5−1.地盤調査をする
今でこそ住宅品確法があるため、新築住宅は地質調査や地盤改良をされて住宅が販売されています。
平成12年品確法と建築基準法の改正によって地質調査をすることは通例になっています。
昔の家は地質調査や地盤改良がされていなく不同沈下や傾きが少なからず起きてる家も多いです。
建て替えをせずに長年つかっていくのであれば、早めの調査と対応が必要です。
詳しくは『建物が傾いている原因とリフォーム工事による解決方法』をご参考下さいませ。
5−2.耐震診断をうける
旧耐震基準の建物をリフォームする際には事前に耐震診断を受けることもできます。
建物が建てられた年代によって筋交いの本数や大きさ、取り付け箇所がことなります。
建物を建築する際には筋交いの本数や大きさ、取り付け箇所、構造用合板、金物の使用を建築基準法によって決められています。
築年数が古い住宅は耐震診断を受ける際に区の助成金が出る為、無料もしくは安く診断を受けることができます。
再建築不可物件の場合には、自治体によって耐震改修の助成金が少なくなりますが、せっかく助成金が出るのであれば活用しない手はないです。
まとめ
再建築不可物件を新築同様にするには新築以上のコストがかかります。
だからこそ、再建築不可物件を購入するときには周辺の土地値よりも非常に安く購入しなければいけません。
建て替え出来ない・解体できない・リフォーム費用は高くついてしまうということを念頭にいれておきましょう。