1.知っておきたい都市計画道路のこと
都市計画道路とは、都市計画法第11条に基づいた都市計画決定による、日本の道路のことです。
都市計画道路には5種類、以下のものがあります。
- 自動車専用道路(都市高速道路、都市間高速道路、その他の自動車専用道路)
- 幹線街路(都市の主要な道路で、近隣住区等における主要な道路または外郭を形成する道路に連結する道路)
- 区画街路(宅地の利用に供される道路)
- 特殊街路(主に自動車以外の交通(歩行者・自転車・新交通システム)のための道路)
- 駅前広場
都道府県又は市町村が都市計画をおこなっていくにためにも、
都市計画区域内では市街化区域や市街化調整区域、その他の区域に分けられています。
東京23区は河川等を除き、全てのエリアが市街化区域となります。
この市街化区域は都市施設を重点的に整備するとともに、充実した市街地の形成を目指す区域となります。
市街化調整区域は、市街化をさせないで、市街化を抑制する区域となります。
1-1.都市計画法
都市計画法第1条にて、都市計画法の目的が下記のように定義されています。
都市計画法とは都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
昭和43年に新都市計画法が施行されました。
昭和43年当時、都市化を一方的に進めていくだけでなく、農地農林の保護、漁業の保護など第1次産業との調和を十分と図り、適正な制限のもとに土地の合理的な利用を図り、その上で健康で文化的な都市生活や都市活動を確保していくものとして、新都市計画法が制定されました。
都市計画法では、用途地域ごとに建ぺい率や容積率が定められているが、建築基準法でも、前面道路の幅員や角地などによって建ぺい率や容積率の制限または緩和されることがあります。
このように都市計画法と建築基準法は密接な関係があって、土地建物の売買において、不動産仲介会社は必ず土地をしっかり調査しなければいけません。
宅地建物取引主任士が売買契約前の重要事項説明時にて、都市計画法・建築基準法に基づく制限の概要を売主・買主にしっかりと説明する必要があります。
1-2.都市計画、都市施設とは
都市計画とは、都市施設事業のことで、基本的には都市計画区域で下記の都市施設を定めることとしている。
- 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
- 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
- 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
- 河川、運河その他の水路
- 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
- 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
- 市場、と畜場又は火葬場
- 一団地の住宅施設
- 一団地の官公庁施設
- 流通業務団地
- 一団地の津波防災拠点市街地形成施設
- 一団地の復興再生拠点市街地形成施設
- 一団地の復興拠点市街地形成施設
- その他政令で定める施設
都市計画道路は、上記に掲げる都市施設の1つとされています。
1-3.計画決定
都市計画道路の計画決定は、都市計画法に基づき決定します。
正式に事業決定するまでに、事業家の検討や概略設計を行った上で、地域住民や事業予定地の権利者等に事業説明を行います。
そして、測量や境界立会い、地質調査などを行い、道路の設計を行います。
国土交通大臣又は都道府県知事の認可を受けることで、事業の着手が正式に決まります。(事業認定、事業決定)
(画像引用元)道路行政の簡単解説 – 国土交通省
1-4.東京都の都市計画道路
東京都の現在事業中の都市計画道路については、東京都都市整備局ホームページより確認できます。
都市計画制限がある(都市計画施設等の区域内、都市計画事業の事業地内、地区計画の区域内)区域では、建築制限がかかります。
対象の土地が都市計画道路や道路拡幅計画に入ってるかどうかは、下記の東京都都市整備局によるMapで簡単に確認できます。
1-5.建築基準法上の道路
建物を建築するときには、都市計画法だけでなく、建築基準法にも適合させないといけません。
建築基準法上でも道路の種類は、下記の5種類に分けられています。建築基準法上の道路は、幅員4m以上(又は6m以上)のものとされています。
- 道路法による道路(国道、県道、市道等)
- 土地区画整理法、都市計画法その他の法令による道路(開発道路等)
- 建築基準法第3章の規定が適用されるに至った際、現に存在する道路
- 道路法、都市計画法その他の法令による事業計画のある道路で、特定行政庁が指定した道路(計画道路)
- 土地所有者等が築造し、特定行政庁からその位置の指定を受けた道路(位置指定道路)
また、道路の幅員が4m未満であっても、2項道路とよばれている道路があります。2項道路は、建築基準法の施行の際すでに建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で、特定行政庁の指定を受けたものです。
2.売買予定の不動産が計画道路の予定地になっている場合
40年から50年前に都市計画決定の告示をされたけれども、進捗が0%で整備が全くされていない都道や区道、市道もあります。
東京都都市整備局や自治体のホームページを確認して、優先整備路線になってるかどうかや、事業施工期間などを確認することができます。
また、自治体の都市整備部に直接、計画道路の状況について相談することもできます。
計画道路の予定地になっていても、建物の建築や売買は出来ます。
但し、都市計画事業が近い将来に施行される場合等には建築は許可されません。許可されない時には、知事に対してその土地の買取の申し出をすることができます。
2-1.建築制限
計画決定の予定になっている場合には、堅固な建物の建築はできません。
具体的には、都内の都市計画道路においては、以下に示す建築制限の基準を設置しています。
【新たな建築制限の基準】
当該建築物が、次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであること。
1、市街地開発事業(区画整理・再開発など)等の支障にならないこと。
2、階数が3、高さが10m以下であり、かつ、地階を有しないこと。
3、主要構造部が、木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。
4、建築物が都市計画道路区域の内外にわたり存することになる場合は、将来において、都市計画道路区域内に存する部分を分離することができるよう、設計上の配慮をすること。
一般的な住宅の造りである木造の戸建てであれば、問題なく建築できるということです。
2-2.どれぐらいで買収されるのか
都市計画法第56条にて、建築の許可がされない場合には、知事に買取の申し出ができます。
申し出があったときは、特別の事情がないかぎり時価で買い取るものとされています。
都道府県知事等は、事業予定地内の土地の所有者から、同条第一項本文の規定により建築物の建築が許可されないときはその土地の利用に著しい支障を来すこととなることを理由として、当該土地を買い取るべき旨の申出があつた場合においては、特別の事情がない限り、当該土地を時価で買い取るものとする。
また、都市計画道路用地取得の補償金の算定は、国が定めた「補償基準」により補償金を査定します。
- 土地の補償
- 建物の補償
- 工作物の補償
- 立木の補償
- その他の補償(運搬・引っ越し費用、仮住居等補償費用、家賃減収補償、移転雑費、営業補償)
2-3.売るにあたって支障はあるのか
都市計画道路が計画決定された予定地であっても、その土地を売ることは出来ます。
都市計画決定はしているが、事業決定はしていない段階の計画道路がかかっている土地であれば、売るにあたって支障が出ることは少ないです。
但し、事業決定している土地であれば、建物を建築することは出来ないため、市場での売却も難しくなります。
優先整備路線に入っていれば、今後5年から10年で工事着手に入る可能性も高いため、そのまま土地を収用してもらうことになるでしょう。