1.土地区画整理事業とは?
土地区画整理事業とは、ご存知でしょうか。
土地区画整理事業とは、都市計画区域内の土地について、道路や公園、広場などの公共施設と宅地を一体的に整備して、区画を整える事業のことです。
土地の区画形質の変更および公共施設の新設又は変更をするため、街全体としての価値向上にはつながっているが、住民によっては精算金や保留地の決定、換地の内容にに不満を抱える方もいらっしゃいます。
土地区画整理事業は都市計画事業の1種であり、街づくりとして戦後から多く全国で取り組まれてきました。
計画決定から事業決定、換地処分まで20年から30年以上かかることもあり、長い年月を要することもあります。
土地区画整理事業の施行者は都や区の場合もあれば、土地区画整理組合の場合もあります。
また、土地区画整理事業の規定は、土地区画整理法によって定められています。
(画像引用元)国土交通省ホームページ
1-1.土地区画整理法とは
土地区画整理法は、昭和29年に制定されました。戦後に都市の人口急増にともない、市街地も発展してきたため、土地区画整理事業による都市整備が期待されました。
土地区画整理法のルーツとなるのが、明治21年に制定された旧都市計画法、旧耕地整理法とされています。
第二次世界大戦で日本の主要都市や市街地が壊滅的になってしまいましたが、その復旧をするためには特別都市計画法が制定され、約3万ヘクタール近くの都市が整備されました。
戦後に準用されていた旧耕地整理法では不都合な点も多く、その後に土地区画整理法が制定されたのです。
土地区画整理事業による市街地整備は今日にいたるまで、約35万ヘクタールが実施されています。
日本の市街地の面積は約120万ヘクタールありますので、土地区画整理事業によって市街地整備された面積は市街地面積の約1/3から1/4にあたります。
土地区画整理事業の総則、仕組み、規約等は土地区画整理法によって定義されているのです。
土地区画整理法
第1章総則第2章施行者
- 第1節個人施行者
- 第2節土地区画整理組合(第1款設立、第2款管理、第3款解散及び合併)
- 第3節区画整理会社
- 第4節都道府県及び市町村
- 第5節国土交通大臣
- 第6節独立行政法人都市再生機構等
第3章土地区画整理事業
- 第1節通則
- 第2節換地計画
- 第3節仮換地の指定
- 第4節換地処分
- 第5節減価補償金
- 第6節清算
- 第7節権利関係の調整
- 第8節住宅先行建設区における住宅の建設
- 第9節国土交通大臣の技術検定等
第4章費用の負担等
第5章監督
第6章雑則
第7章罰則
附則
1-2.売買物件が土地区画整理事業の区域内だったら?
これから売買する予定の物件が土地区画整理事業の計画決定された区域、事業決定された区域であるかもしれません。
不動産会社の販売図面やインターネットの物件詳細のページでも、法令上の制限のところに土地区画整理事業区域と記載されてる物件もあるでしょう。
土地区画整理事業の施行すべき区域(計画決定された区域)、事業決定された区域は今後または将来的に敷地の形状や面積が変わる可能性があります。
不動産会社は購入を検討されてる方に、物件の案内の段階や重要事項の説明時に、詳しく説明をしておく必要があります。
土地が土地区画整理事業地内の土地である場合には、その対象の土地が換地処分後には面積減(減歩)となることと、その換地処分時点での所有者に対し、清算金の徴収または交付がなされることがあることの2点については、施行者から入手した計画図面なり説明書を添付したうえで、しっかりと説明をしなければいけません。
1-3.土地区画整理事業を施行すべき区域(計画決定)
土地区画整理事業を施行すべき区域だからといって、事業決定されてる地域とは限りません。
土地区画整理事業が施行された地域は、計画決定区域の約1割にしかすぎません。
各自治体でも、社会経済等の影響により事業を進めることが困難になっている、と公表しています。
計画決定はされているが、数十年と事業化されていない区域も多いです。
たとえば、東京都練馬区においても、約44パーセントを占める区域(約2104.2ヘクタール)が、土地区画整理事業を施行すべき区域として都市計画決定されています。
施行すべき区域でまだ事業決定されていない区域の不動産を売買する場合には、不動産会社が建築制限について調査しておく必要があります。
1-4.建築制限がかかる?
計画決定をされてる段階なのか、事業決定をされた段階なのかで、建築制限の内容も変わってきます。
土地区画整理事業区域では、区域によって建築制限の内容も違うため、調査が必要となってきます。
例えば、板橋区西部で計画決定された区域では下記の内容となっています。
この区域内で建築物を建築する場合には、都市計画法第53条の許可が必要となります。当該建築物が下記の許可基準(都市計画法第54条)に該当する場合は、許可することができます。
▽許可の基準(都市計画法第54条)
下記の条件に該当し、かつ容易に移転又は除却できるものであると認められる場合。
階数が2以下で、かつ地階を有しないこと。
主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。
1-5.土地区画整理事業のメリット
土地区画整理事業のメリットは、道路や公園等の公共施設の改善、宅地の利用増進がはかられることです。
土地区画整理法の第2条でも、そのように明記されています。
道路が拡張される、住民にとって使いやすい土地となる、しいては地域経済の活性化にも繋がり、換地処分された土地の価値は依然の土地よりも価値が上がるということになっていきます。
但し、メリット以外の付け加えておくとすると、区画整理による土地がかなり小さくなってしまう(減歩)、飛び換地により立地が変わってしまう等、土地の評価は変わらなくても、本人にとって受益を受けないケースも少なからずあるようです。
住民の意見が反映されずに紛争になってしまう区域もあり、地域住民全員がメリットを享受できてるとは限りません。
1-6.東京23区での土地区画整理事業
土地区画整理事業は都市計画区域内でおこなわれることになっており、東京23区も都市計画の区域です。
土地区画整理事業を施行すべき区域なのか、また事業計画された区域なのかどうかは、各自治体のホームページでも情報を公開しています。
計画決定の段階では不動産業者でも、詳細がわからなく、いつ事業化されるのかわからないこともあります。
通常の土地建物と同じように売買ができるため、将来の事業化の可能性もふまえて、当事者は売買する必要があります。
さいごに
当社では、土地区画整理事業の施行すべき区域内で、また建築制限が厳しいエリアの土地建物も買い取りしております。
事業化されたエリア、換地処分前の土地の売却を検討されてる方もご相談くださいませ。