訳あり物件を取り扱っているテレビ番組が人気ですね。
当社にもテレビ制作の会社から『訳あり物件、事故物件のテレビ企画に協力してもらえませんか? 訳あり物件をご紹介ください』 という電話が頻繁にかかってきます。
テレビで紹介することで物件が売れるなら協力したいところですが、どのような内容で放送をされるかわかりませんし、常に訳あり物件や事故物件を販売してるわけでもないので、テレビ制作会社からの電話がかかってくるたびにお断りしています。
不動産会社様からも、訳あり物件の買取依頼はよくきます。
土地(更地)だったり、一戸建てだったり、区分マンションだったり、アパートであることもありますね。
訳あり物件を、売ることはできます。ただ、困ってしまうことに訳あり物件の相場はハッキリしていないのです。
なので、不動産会社や個人の売主の方は売る時の価格をどうしたらよいのか迷われてしまうでしょう。
通常、土地や不動産を売却する際には、公示地価や周辺物件価格、成約事例等を参考にします。
訳あり物件の場合には、どれぐらい減価したらよいのか、プロの不動産会社でも判断に迷うところなのです。
それと、訳あり物件は、物理的瑕疵、法律的瑕疵、心理的瑕疵、環境瑕疵の4種類に分けられます。
あなたが売りたいと思ってる物件は、どの瑕疵に該当してますでしょうか?
このページでは、訳あり物件を売る為の方法論や当社の考え方をお伝えします。
不動産の売却を検討してる方はご参考くださいませ。
1.訳あり物件を売れるだろうか・・・
金額次第では売ることが出来ます。それに一戸建てやアパートであれば、建て替えも出来ます。
事故や事件がおきてから相当の年月経過していたり、建て替えがされていれば、そこまで気にしないという買い手もいるでしょう。
時間経過が長かったり、建て替えをされて同一の建物でなければ、裁判判例において告知されていなかったとしても損害賠償に値しないという判例もあります。
ただ、区分マンションの場合には単独で建て替えは出来ないため、自殺や殺人などの心理的瑕疵の場合には売ることが大変となります。
瑕疵の内容や物件の種別、経過年数によって、売りやすさは変わってくるでしょう。
1-1.訳あり物件とは
訳あり物件とは、価格が安いなりに事情がある、訳がある物件のことです。
一般の方に訳あり物件として周知されているのが事故物件(主に自殺や他殺等)でしょう。事故物件のことは心理的瑕疵物件ともいいます。
不動産会社は訳がある物件、瑕疵がある物件を売買契約の前に購入希望者に対して重要事項として告知しなければいけません。
また引き渡した後で買主が瑕疵を発見した場合には、損害賠償の発生および契約解除になってしまうこともあります。
訳あり物件や瑕疵がある物件は4種類に分けることができます。
物理的瑕疵がある物件、法的瑕疵がある物件、心理的瑕疵がある物件、環境瑕疵がある物件です。
物理的瑕疵がある物件
物理的瑕疵とは、シロアリや雨漏りや漏水、擁壁、土壌汚染、地中埋設物など土地建物にある瑕疵や欠陥のことです。
売買契約をして引き渡し後にこのような隠れたる瑕疵が見つかった場合には、売主負担で修繕しなければいけないことがあります。
古家を現況売買する場合や、個人間売買の場合には瑕疵担保責任の免除とすることがあります。
ただし、売主が事前に瑕疵を知っておきながら買主に告げなかった場合には、その免除の効力はなくなります。
法的瑕疵がある物件
法的瑕疵とは、法令の制限がかかっている物件、法令に適合していないことをいいます。
不動産の場合には、都市計画法や建築基準法に適合していない問題があります。
- 市街化調整区域で建て替えが難しい土地
- 宅地造成や急傾斜による建築制限
- 建築基準法の接道義務違反による再建築不可の土地
- 建ぺい率容積率オーバーや旧耐震基準の既存不適格物件
などが法的瑕疵がある物件です。
これらの土地建物は建て替えできない問題や住宅ローン利用ができない問題があります。
不動産会社が物件調査や役所調査をするため、しっかりと重要事項説明や売買契約のときに買主に伝えなければいけません。
心理的瑕疵がある物件
心理的瑕疵とは、自殺や他殺、孤独死など、その目的物を使用するにあたり、心理的嫌悪感がある瑕疵のことです。
心理的瑕疵がある物件は、事故物件やいわくつき物件ともいわれることもあります。
物理的瑕疵や法的瑕疵がある物件に比べて、売り出し価格の査定は非常にむずかしいです。
周辺相場の半値で売り出しているが中々売れないといったケースもあります。
※自然死や病死は心理的瑕疵にあたらないが、発見が遅れた孤独死に関しては、念のために告知しておくべきと考えられます。
心理的瑕疵については明確な基準がないことから、売主・買主・仲介業者も判断に迷うところです。裁判による判決では、経過年数や個別内容、現在の状況等によって瑕疵になるかどうか判断されます。
環境瑕疵がある物件
環境瑕疵とは、対象物件に問題はないが、周辺環境に問題があることをいいます。
具体的にいえば、近隣に暴力団施設や暴力団員が住んでいたり、悪臭をはなつ工場や事業所があったり、日照・眺望・騒音などに障害がある物件のことです。
近隣に暴力団施設がある場合には、購入希望者がいたとしても住宅ローンを組むことはむずかしく、売却することが大変になります。
1-2.一番多い孤独死、病死
ご高齢の一人暮らしの方は増えていて、子供や孫は遠方に住んでいて社会とのつながりが少なくなってしまうことで孤独死してしまう方も増えています。
賃貸物件や公営住宅でも孤独死してしまうご高齢の入居者は多いので、賃貸物件の審査ではご高齢の方は審査に落ちやすい傾向があります。
孤独死や孤立死が起きた場合には早期発見されれば良いのだが、発見が遅れてしまった場合には、お部屋に異臭・体液がしみ込んでしまう場合があります。
発見が遅れて、そうなってしまった場合には、告知せざるをえません。
孤独死や孤立死、病死は、自殺や他殺と違い、告知義務はありませんが、発見状況によっては心理的欠陥をもつ可能性があるため、そういう場合には売却する際に告知しておいたほうが良いでしょう。
1-3.どれぐらい価格は落ちてしまう?
物件種別、経過年数、瑕疵の内容によって、減価率もかわってきます。
区分マンションなのか、土地なのか、一戸建てなのか、アパートなのか。
古家付き土地や築古アパートであれば、建て替え前提で売ることも出来ます。
心理的瑕疵物件で、自殺や他殺であれば、築年数が浅いマンションや綺麗な一戸建てでも中々売れません。
相場の半値近くで売り出したケースがありましたが、半年間売れなかったケースがあります。孤独死や病死と違い、気にする方が多いからです。
ただし、過去60年前に自殺があった都心の好立地にある古家付き土地は、相場の9掛け位ですぐに売れたケースもございました。
また、心理的瑕疵と違い、法的瑕疵や環境瑕疵は瑕疵の内容次第で購入希望者が住宅ローン利用を出来なくなってしまうケースがあります。
住宅ローンの利用が出来ない物件となると、買い手は制限され、大きな減価につながりやすいです。
1-4.いったん誰かが住めば、告知しなくても良い?
心理的瑕疵(自殺や他殺等)に関して、いったん誰かが居住用として使用していれば、つぎに売買するときや賃貸するときに告知しなくても良いとはなりません。
もし、知っておきながら告知していないとなると、不動産会社の説明義務違反や、売主の損害賠償、契約解除も十分にありえます。
心理的瑕疵の内容、経過年数、建て替えの有無、事件性の有無、周辺住民が知り得ているかなど様々な要素が考慮されますが、いったん誰かが住んだだけではおそらく経過年数も長くないと思われます。
また事件内容によっては経過年数が50年を超えていても、瑕疵と認められた判例もあります。
個別案件によって判断はむずかしいですが、誰かが一時住んだからといって告知義務がなくなるわけではありません。
2.訳あり物件は売れるのか
所有している自宅や不動産を売却したいのだが、訳ありで売れないかもしれない…とお悩みの方はいらっしゃるでしょう。訳がある物件の売却に対応してくれる不動産会社も少ないです。
また、瑕疵の内容によって、売り出し価格や売却の仕方をよく考える必要があります。
- 不動産の需要があるエリアなのか
- 居住用不動産なのか収益不動産なのか
- 現状は更地なのか
都心エリアや人気エリア、駅から近い土地であれば、不動産の需要もあるため、直接買い取ってくれる不動産業者が多くなります。
東京でなく、土地値が二束三文のようなところだと、買い手があらわれるどころか、引き取り手すらあらわれない可能性だってあります。
2-1.物理的瑕疵がある物件
古家付き土地、ボロボロの不動産を売る場合には、隠れたる瑕疵がある可能性は十分にあります。
構造部分の劣化や腐朽、地中の埋設物など目に見えない瑕疵があるかもしれません。
ただ、法的瑕疵や心理的瑕疵、環境瑕疵に比べたら、瑕疵を見込んだ適正価格にすれば売りやすいです。
傾斜地にある古い擁壁物件や地盤が悪い土地は、土地の問題が大きくなってくると売りづらくなってきます。
不動産会社が土地の調査をしっかり行った上で、買主の不安を払しょくできるような販売を行えば問題なく売れるでしょう。
2-2.法的瑕疵がある物件
法的瑕疵がある物件でも、東京23区の物件であれば、問題なく売れます。
当社でも、建ぺい率容積率オーバーしてる既存不適格物件、旧耐震基準のマンション、再建築不可の土地を直接買取りしております。
現在の法令に適合していない物件は建て替えがむずかしいですが、リフォームやリノベーションをすることは可能です。
再建築不可物件は都市銀行の住宅ローンの利用がむずかしいので、買い手は制限されますが、価格次第で売れるでしょう。
下記のページもあわせて、ご参考くださいませ。
2-3.心理的瑕疵がある物件
心理的瑕疵物件は瑕疵物件の中でも一番査定がむずかしいです。
特に自殺や他殺となると、不動産の需要があるエリアでないと、中々売ることが出来ません。
左にいけばいくほど、売りづらくなります。
区分マンション>一戸建て・土地>アパート・事務所・ビル
賃貸不動産であれば、事故や事件があったとしても賃貸需要があれば売ることは出来ます。
居住用不動産の場合には、全く事情を気にしない購入希望者を探さないといけません。
下記のページもあわせて、ご参考くださいませ。
2-4.環境瑕疵がある物件
近隣に暴力団事務所や暴力団施設、悪臭や騒音をはなつ工場や事業所、ゴミ焼却場、下水処理場、危険物を取扱う工場、高圧線鉄塔、墓地などがあると、査定にも影響してくるでしょう。
生活上の実害がどこまで発生するのかどうか、住居エリアなのか商業エリアなのかどうか気になるところです。
また、上述していますが近隣に暴力団事務所や施設が有る場合には、購入希望者が住宅ローンを利用できない可能性もありえます。
さいごに
東京23区の物件であれば、瑕疵の内容と価格次第で売ることは十分に出来ます。まずは、不動産会社に査定をしてもらい、売り出し価格を決めることです。
売主が瑕疵の存在を知っておきながら、買主に伝えなかった場合には損害賠償を請求される、最悪契約解除をしなければいけない、またその間の金利や利息を売主が負担しなければいけなくなってしまうので、必ず不動産会社や買主に伝えておきましょう。