建築基準法や都市計画法などに違反している建築物のことを違反建築物といいます。
違反建築物は買い手が購入する際に銀行ローンが利用できなく、また近隣トラブルを抱えている可能性もある為ために売却がしづらいです。
また違反建築物をリフォームする際にも許可が下りないことがあるため、リフォームしてからの売却にも注意が必要です。
つまり、違反建築物は売買やリフォームが簡単に出来ない物件ということなのです。
こちらのページでは、違反建築物とはどういう物件なのか、またそういった物件を売却する際のポイントや注意点についてまとめさせていただきました。ぜひご参考くださいませ。
1.違反建築物の種類
中古物件の売買市場において、違反建築物は意外と多く売りに出ています。
その代表格として、接道義務違反で建てられている再建築不可物件があります。建築基準法の接道義務を満たしていないために建て替えも出来ません。新築当時に建築確認をとっていない可能性も大きいです。
他にも、建ぺい率や容積率オーバーしたもの、用途変更をおこなったもの、無断で違反増築をおこなったもの、そもそも建築確認を受けていなかったもの、等の物件があげられます。
・建築基準法の接道義務を満たしていない再建築不可物件
建物の敷地が建築基準法の道路に2m以上接していなければ建築基準法に違反していることになります。但し、例外として43条但し書きの許可が下りた物件や新築時に建築確認が取れてた物件は違反建築物にはなりません。
・建ぺい率又は容積率をオーバーした物件
都市計画区域において、建ぺい率や容積率の制限は用途地域に応じて定められています。建物を建てる際や増築する際にはその建ぺい率や容積率の範囲内で建築する必要があります。その範囲を超えてしまうと、違反建築物となってしまいます。
・高さ制限や斜線制限に違反してしまった物件
・許可を受けた際の建物とは異なった用途変更に増改築・建築を行ってしまった物件
違反建築物は、行政から指導や使用禁止等の是正勧告がなされることもあります。ただ、昔からの家で建ぺい率オーバーや再建築不可等の違反建築物は多く、今とはなっては問題となってない物件のほうが多いです。
実際には建てられてから3年以内に近隣から苦情や通報があり、誰が見ても酷い違反状態であるならば行政から是正勧告がなされることが多いようです。
また、建築や増改築の時に法令を守らずに違反建築物となった一方で、建築時は合法であった既存不適格の物件もあります。
1-1.既存不適格との違い
既存不適格の物件とは、建築時は法令を遵守して建てられたけれどもその後の法令改正等に伴い現行法では不適格となってしまった建物のことをいいます。もちろん、違反建築物とは異なります。
既存不適格となってしまった原因としては、建物を建築した後に建ぺい率や容積率の制限が変わってしまった、敷地の一部が収用されてしまった、高さ制限が設けられてしまった、新耐震基準が設けられてしまい現行法に適合しなくなってしまったこと等が考えられます。
但し、既存不適格の物件については、そのままの状態を存続している限り、現行法に適合するよう建物を修正する必要もありません。
違反建築物も既存不適格も金融機関の住宅ローンを利用することは難しいです。
1-2.融資が受けづらい
どこの銀行や信用金庫も融資を行ってくれません。こういった違反建築物は担保価値が低いとみなされたり物件に難があるとみなされるため、殆どの金融機関において買い手が融資を受けることは難しいでしょう。
売れにくい理由の1つとして、融資が受けづらいという理由も大きいです。買い手が現金客に限られてしまいます。但し、買主によってはノンバンクや一部の金融機関でローンを組める可能性もあります。
1-3.売却、処分するには
違反建築物であったとしても売却をすることは可能です。
1つの手段として、更地にしてしまえば違反建築ではなくなります。建ぺい率や容積率、高さ制限、用途等に問題があったとしても、更地にしてしまえば問題は解消できるからです。
また、更地にするという方法以外でも、建物を減築することで違反建築物でなくなることも考えられます。
但し、建て替え出来るような土地ならまだしも、狭小地だったり再建築不可の土地であれば、建て替えをするのが難しいこともあります。
そのような物件は現況のまま売るのがベストですが、問題は買い手を見つけられるかどうかです。
また都心の物件であれば、違反建築物でも高く売ることも可能かもしれません。その他のエリアでも、売る時の注意点やポイントをおさえて販売することが大切です。買取業者を利用するというのも売却先の1つとして考えておきましょう。
1-4.売る時の注意点
法律に違反している建築物は、所有者自らの責任で直さなくてはいけません。また、行政から指導や使用禁止等の是正勧告がなされる可能性もあります。それを知らずに購入してしまった買主を保護する為にも、売主には違反建築物を売却する時に説明義務や契約不適合責任などあります。
どのような部分が違反しているのか、いつ無断増築や建築等をしてしまったのか、行政からの指導の有無、近隣トラブルの有無等を売買契約時に買主にしっかりと伝えなくてはいけません。また、販売時にも事前に不動産会社に伝えておき、購入希望者や内覧者に説明をしてもらっておくことが大事です。
もしも、伝えていなかった場合には買主から損害賠償請求や契約解除等の訴えをされてしまう可能性があります。
1-5.売却のポイント
違反建築物を売却することは可能です。ただ、売る為のポイントをおさえておかないといけません。不動産会社に依頼したとしても、違反建築物の売買に対応したことがない担当者もいます。売却に関しては複数社に相談すると良いでしょう。
現金客を探す
投資家や自営業の方、買取業者をターゲットに現金で買ってくれるお客探しをする必要があります。なぜならば買い手は銀行等の住宅ローンが利用出来ないからです。
上記のお客様であれば、相場よりも多少安ければ買ってくれる可能性があるのです。
銀行に定期預金をされてる方や銀行との取引があって、本来は融資を組めないはずなのに自分で融資先を見つけてくるレアなケースもあります。
違反建築物なので、多少は相場よりも安く販売をすることが大事です。
違反してる問題を解消する
違反してる問題を解消すれば、普通の物件として売却することが可能です。そうなれば相場通りの金額で売ることもできるし、買い手が銀行等でローンを組むことも可能になります。
再建築不可の物件であれば、道路付けの問題を解消する又は43条但し書きの許可をとることになります。
下記のページもご参考くださいませ。
無断増築などで建ぺい率や容積率がオーバーしてしまった場合には、減築をして床面積を制限内におさめることになります。但し、規模が大きい減築となると、かなりのコストが発生することになりますので状況に応じて判断する必要があります。
建物の良さをアピールする
実際に、建物自体は綺麗で立派な造りになってる物件も多いです。そうであれば、多少のクリーニングで現状のままでも住める十分な物件となります。大がかりなリフォームとなると、工務店やリフォーム業者に依頼をする必要があります。役所への報告や相談等も全て行ってくれるからです。
違反建築や増築してしまったのがかなり昔のことであれば、今となっては行政から指導等の是正勧告がくることは殆ど無いでしょう。
広めの物件を探してる方であれば、容積率オーバーしてる物件でも検討してくれる可能性もあります。そういったお客様を探すのは不動産会社であり、ノンバンクの金融機関を手配する等、早めに契約決済につなげてくれることも可能です。
買取業者の活用
違反建築物は、法的な問題も絡んでくるし、近隣との潜在的なトラブルを抱えてる可能性もあります。
そういった物件は売却した後も買主とトラブルになってしまうケースもある為、専門知識やノウハウがある不動産業者に買い取ってもらったほうが良いこともあります。
また、不動産業者が直接の買主であれば、手数料がかからないケースもあり、また現金決済をしてくれるため引き渡しまでスムーズに行うことができます。もしも、通常の売り出しをしてから半年1年経っても売れなかったのであれば、買取業者を活用してみましょう。