空き家になった実家を当社に引き取ってほしい、という相談が年々増えています。
タダでもいいから引き取ってほしいと、深刻なご様子で相談にこられるのです。
東京の不動産であれば、どんなに築年数が古くても、道路付けに問題があっても、連棟式や狭小住宅であっても、売ることができます。
同じ首都圏の地域であっても、千葉県や茨城県、栃木県や群馬県の土地建物は簡単に処分できません。
東京にアクセスしやすいエリアであれば買い手もつきますが、東京まで電車や車でアクセスが2時間以上かかるエリアだと買い手もつきづらいです。
また、市街化区域から外れている、駅から遠い、敷地内駐車場が無い、道路付けに問題がある、築年数が30年以上経っているなど、
難有りの条件が重なれば重なるほど、地元の不動産会社も仲介を嫌がります。
その結果、長年所有権を放棄できずに、税金を払い続けている方も多いのです。
当社に相談いただく方の多くは、地元の不動産会社に仲介を断られてしまった方々です。
やっかいなことは税金の問題だけではありません。
空き家になってしまった実家を長年放置してしまうと、権利関係が複雑になってしまい処分することも難しくなることがあります。
東京都内にある家であれば、どこの不動産会社に依頼しても売却できるでしょう。
また不動産会社が高値で買取してくれることもあります。
こちらのページでは空き家になってしまった売れない実家を売る手順について、まとめさせていただきました。
ぜひご参考くださいませ。
1.空き家になった実家を売りたい
全国の空き家戸数は年々増えていき、今後は売るに売れなくなってしまう家が多いはずです。
2017年11月31日に国土交通省は全国版空き家・空き地バンクの試行運用を開始しましたが、
まだまだ各自治体の空き家バンクはうまく機能してるとは言い難いです。
なぜかといいますと、
売買価格が相場と乖離していたり(高かったり)、
仲介会社が入ってないことから個人間で値段交渉や諸条件の相談が難しかったり、
売主の対応が遅いことなどもあげられます。
そもそも売れる物件や賃貸需要がある物件は、空き家バンクには掲載されません。
空き家バンクに登録したとしても、問い合わせが全くないというのが現実です。
地方や田舎の空き家問題は切実です。
1-1.不動産会社に売却の相談をする
地方の物件を相続して売却を検討している方は、通常のやり方だと不動産を処分出来ないと気付かなくてはいけません。
地元の不動産会社に相談しても対応してくれないことは多いのです。
取引事例が全くない地域、需要が全く無い地域、市街化地域からはずれた地域であれば
不動産会社は仲介を嫌がります。
売買価格が数十万円になってしまうことも考えられ、仲介手数料は微々たるものしか発生しません。
売買価格が400万円を超える場合には、下記の速算式で算出できます。
売買価格×3%+6万円+消費税
但し400万円以下の売買価格であれば、売買代金の金額区分ごとに上限が定められています。
売買価格 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下の金額 | 5% |
200万円を超え400万円以下の金額 | 4% |
つまり50万円の売買価格であればたったの25,000円(税別)の仲介手数料となります。
それ以上の手数料を不動産会社は受け取ることが出来ないのです。
土地建物の現地調査、役所調査、契約書類の作成、契約や決済の段取りの調整、顧客(売主・買主)との連絡を
たったの25,000円で行ってくれる不動産会社はまず存在しないでしょう。
別途手数料もあり
地方の不動産は取引事例や成約事例が少ないため相場がわかりにくく、
どこの不動産業者に依頼したら良いのか難しいこともあります。
また再建築不可や長屋の場合には、住宅ローンの融資が受けられず、買い手を探すことが困難です。
需要がまったくない物件や難ありの物件を売却する場合には、広告宣伝費や業務報酬(コンサルティング報酬)
を不動産会社に支払うということも考えなくてはいけません。
通常通りの報酬だと、仲介を引き受けてくれる不動産会社はいなくなってしまいます。
仲介手数料に関しては宅建業法で上限が決まっていますが、
・コンサルティング業務を行っている不動産会社であればコンサルティングフィー(業務報酬)を支払う
・買取再販を行っている不動産会社であれば、買取り・引き取ってもらう又は仕切り価格を設定して販売してもらう
・その他、成約を条件に広告宣伝費等を支払うことも考えることが出来ます。
下記のページもご参考くださいませ。
当社でも東京以外のエリアだと、千葉県や埼玉県、茨城県、神奈川県であれば買取・引き取りの対応が可能です。
それ以外の他県だと対応もできません。
1-2.相続登記をしておく
親の不動産を相続した場合には、はやめに相続登記をすませておくことが大事です。
司法書士に依頼した場合には、なにかとお金がかかってしまいます。
相続人が複数いて遺産分割協議が発生する場合には、司法書士に支払う報酬が高くついてしまうこともあります。
それに相続登記をしておかないで、いざ売却をしようと思っても、
相続人の間で揉めてしまって売却の話が進まなくなってしまう、といったケースも考えられます。
だからこそ、はやめに相続登記をしておくにこしたことはありません。
自分で相続登記をおこなえば、登録免許税(課税標準価格の4/1000)の支払いですむため、数千円ですむこともあります。
司法書士に依頼した場合には、安くても数万円、遺産分割協議の必要がある場合には10万円以上かかることがあります。
自分で相続登記をおこなってしまう方も多いです。
不動産会社に売却の相談をする前にはやめに相続登記を行っておいたほうが良いでしょう。
1-3.残置物の処分をしておく
実家の家具家電やゴミ等を不用品の回収業者や産廃業者に処分依頼した場合には
費用が高くついてしまうことがあります。
また不動産業者に残置物があるまま買取依頼する場合でも、
その撤去費用は買取価格から差し引かれてしまいます。
自分でゴミの日や粗大ゴミとして処分をしておいたほうが安くすみます。
また大量に家具家電や家庭ゴミがあるまま、売りに出すことは難しいです。
買い手にとって、家具家電やゴミがある状態だと、お部屋の広さもわかりづらくなってしまうからです。
また掃除やクリーニングがされていない汚い状態だと、買い手も敬遠しやすいです。
下記のページもご参考くださいませ。
1-4.更地にするべきか、現況のまま売り出すべきか
家屋を解体して更地にしてしまうと、年間の固定資産税等も最大6倍になってしまうため、更地にしてしまった場合には早く処分しなくてはいけません。
固定資産税特例措置が受けられなくなるために翌年度から固定資産税が上がってしまいます。
更地にしたほうが売れる見込みがある場合を除いて、現況のままで売り出すべきでしょう。
住宅用地として需要がまったく無い地域であれば、建物を解体したら売れなくなることも考えられます。
まだ建物の築年数が20年から30年以内で現状のままでも利用できる見込みがあれば、建物を解体する必要もありません。
1-5.境界に要注意
隣接地との境界がはっきりしていない場合には、買い手が購入に対して後ろ向きになってしまうことがあります。
また建売業者などが買い取ってくれる場合には、確定測量や土地の瑕疵担保責任の期間(3ヶ月)等は条件になってくるでしょう。
しかし、地方の土地建物となると、確定測量の費用(40万円から60万円が平均的な一戸建ての分譲地の測量)が売却価格を上回ってしまうこともあります。
そういった場合には、現況のままで売却するべきです。
市街化区域や住宅需要がある地域で、十分に高く売れる土地であれば境界もはっきりさせてほうが良いでしょう。
境界確定で数か月から1年などの年月を要することもあるからです。
1-6.不動産会社に買取依頼をする
売れない不動産として代表的なものが、再建築不可や長屋などの土地建物です。
それらの物件の多くは築年数が古く、住宅ローンの融資も受けられず、建物の状態はボロボロになっています。
売却は困難であり、現況のままで不動産会社が案内しても中々成約までたどり着けないものです。
買取再販業者の立場からすると、建て替えできなくとも建物を有効活用する方法はあります。
難有りの物件は、不動産会社に現況のまま買取してもらうのが良いでしょう。
土地建物についても、瑕疵担保責任を負わない条件で買取してもらうことが可能ですし
また余計な費用(解体費用)などがかかることもありません。
また住宅需要や賃貸需要が全く無い地方の家に関しても、不動産会社に買取、または引き取り依頼をするのも一つの手段です。