下記のようなケースで、自分が死んだ後の不動産の心配をする方は多いです。
・自分が死んだ後に不動産の処分は誰がしてくれるのだろうか?
・寄付や遺贈を受け付けてくれるだろうか?
・子供に不動産を相続させたくないので、生前のうちに処分できないだろうか?
子供や孫、兄弟等の身内がいれば、不動産を相続させることができます。
相続人がいなければ、最終的には国のものになります。
但し、遺言をのこすことでお世話になった人や特定の人に不動産を遺贈することも可能です。
所有している不動産に価値があるのであれば、“生前に自分が死んだら誰に財産をあげるか”、決めておいたほうが良いです。
売れない土地だから、子供に相続させずに処分または寄付をしたいと考える人もいます。
田舎の土地であれば、寄付を受け付けてくれるところは少なく、処分に悩む方も多いです。
空き家空き地が全国的に増えている、独身者やDINKSの世帯が増えている等の背景があり、
今後は自分が亡くなった後の不動産の処分に悩む人も増えていくでしょう。
1.自分が死んだ後の不動産の処分
自分が死んだ後のトラブルを未然に防ぐためにも、遺言は必要な行為です。
相続人の争いを防ぐために、相続権のない第三者や特定の団体などに遺贈するためにも、遺言を書いたほうが良いのです。
作成した遺言書は自宅や銀行等の貸金庫だけでなく、弁護士・司法書士・税理士などの専門家に預けることも出来ます。
また、遺言書には3つの方式があります。
自筆証書遺言に比べて、公正証書遺言のほうが確実性もあり、信頼できる遺言です。
下記のページもご参照くださいませ。
相続人がいない場合には、遺言書を遺すだけでなく、死後事務委任契約を専門家や親友等の第三者と結ぶのも一つの方法です。
1-1.相続人がいない場合には
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後の手続きを委任する契約のことです。
自分が信頼できる友人や知人、または弁護士や司法書士等の専門家と契約することになります。
自分が亡くなった後の葬儀や役所への届け出、支払い、お墓や納骨等の諸手続きや事務を行ってもらいます。
但し、預金や不動産などの処分や遺贈については、遺言書を作成しておいて決めておく必要があります。
死後事務委任契約と遺言書はセットで準備しておくべきでしょう。
また、その他にも任意後見契約や見守り契約をあわせて検討することも多いです。
1-2.子供に不動産相続をさせたくない場合には
田舎の土地や山林など、処分したくても処分出来ない負動産を子供に相続させたくないと思う方もいます。
子供が不動産相続をしないためには、下記のどれかを選択することになります。
・子供が相続放棄をする
・法定相続人以外に遺贈する
・生前のうちに売却・処分しとく
子供が不動産を相続放棄をする場合でも、相続放棄の手続きだけで手間や費用がかかってきます。
不動産の相続放棄は、相続財産管理人が選定されるまでは子供が管理をし続けないといけません。
それならば、生前のうちに、売却や処分・寄付などをしておくべきでしょう。
また、遺言書を遺すことで法定相続人以外の第三者や団体に遺贈するということもできます。
法定相続人には遺留分の権利もありますので、争いを生む争続(そうぞく)にならないように生前のうちに子供に伝えておくことです。
1-3.寄付または処分をするには
売れる不動産であれば、売却をしてしまって、施設の入居金に充てることができます。
結局、生前のうちに売却したほうが、自分の為にお金をつかえます。
但し、田舎の土地や住宅となると、どこも買取どころか寄付すら受けてくれないことがあります。
自治体は道路の用に供されている土地でないと、ほとんどの場合において寄付を受けつけてくれません。
2.不動産対策をどうすべきか
相続人がいない場合には、生前のうちに不動産を売却することです。
老人ホームや施設に入居するために、自宅や不動産を売却する方は多いです。
ただし、居住用として自分が住んでいるのであれば、売却のタイミングが重要となります。
転居先が決まっていないのに、家を売ることは出来ません。
家を現金化した後も、そのまま家に住み続けられる方法もあります。
不動産業者に買取をしてもらって一定期間引き渡しの猶予をもらうか、
リバースモーゲージやリースバックを利用することです。
家を売る予定がない場合には、遺言を残して特定の人や団体に遺贈することもできます。
特別にお世話になった方や、慈善事業団体・公益事業などに寄贈ができるのです。
2-1.売却して施設に入居する
身内や子供がいない場合には、成年後見制度を利用するケースが多いです。
毎月の年金収入が一定額あれば、有料老人ホームに入居することも考えられます。
入居金が高額である場合でも、先に不動産を売却してから、その資金を充てることができます。
金銭的に余裕があれば、施設に入居してから不動産を売却すれば良いでしょう。
・不動産を売却した資金で、施設に入居する
・施設に入居してから、不動産を売却する
2-2.不動産業者に買取をしてもらう
不動産業者による買取の場合には、契約から決済までに一定期間の引き渡しの猶予をもうけることができます。
その間に、住み替え先や施設などへの入居の準備をすることが可能です。
2-3.リバースモーゲージ、リースバック
リバースモーゲージとは、持ち家を担保としたローンのことです。
子どもがいない夫婦、子供に家を遺さないときめている世帯が、老後生活のためにお金を借りる金融商品となります。
元本のご返済は、ご契約者さまが亡くなった時です。
主に銀行などの金融機関が取り扱っています。
デメリットとしては、担保価値が高い都心エリアの不動産(担保評価額が一定金額以上)や、土地の権利が所有権等でないと対応してくれません。
売却をするべきか、リバースモーゲージを利用するべきか、状況に応じて考える必要があります。
リースバックについては、下記のページをご参照くださいませ。
2-3.遺言をのこして特定の人や団体に遺贈する
生前のうちに不動産の売却や処分をしない場合には、遺言書をのこして不動産を遺贈することができます。
ただし、自治体や団体などでは、不動産を現況のままで遺贈を引き受けて入れてくれないことがあります。
不動産は現金や有価証券等に比べて、現金化することが簡単ではないからです。
不動産のまま遺贈をしたい場合には、事前に寄贈先の団体に相談したほうが良いでしょう。
遺言書を遺しておけば、遺言執行者に不動産を現金化してもらってから、遺贈することも可能です。