短期間で不動産を売る場合には、不動産業者による買取または、現金決済してくれる買い手を探すことになります。
「売り出してから半年、1年も経ってしまった、不動産会社から内覧等の報告をまったく受けていない…」と相談に来られる方もいらっしゃいますが、
その多くは価格設定を高くしてしまっていることが原因となっています。
特に築年数が古く経っている旧耐震基準の物件(昭和56年以前に建築確認をとった建物)は売れづらいです。
旧耐震基準の物件は、買い手が住宅ローンを利用できない、税金の軽減制度を利用できないといったデメリットがあります。
また現況のままで建物を利用できない場合には、買主の負担で建て替えやリフォームをしなくてはいけません。
築年数が古く経っている物件が、価格設定を間違えていると1年以上売れ残ることもあります。
中古物件が売却できるまでに3か月から6か月以上かかった方の共通点は、価格設定が高いだけでなく、売主様が指値や価格改定を受け入れないこともあります。
問い合わせの数や内覧者の数が減ってきたのであれば、価格改定のサインが出ているということになります。
価格設定が高い物件は、問い合わせの数は2か月から3か月目で徐々に減ってくるでしょう。
1. 1か月以内に不動産を売却して現金化する
1か月以内に不動産を売却して現金化するには、価格設定と家の売り方が重要です。
居住用不動産であれば、通常の買い手は住宅ローンを利用して購入することになります。
買い手があらわれたとしても、ローン審査等があるために決済・現金化できるまでに2か月位かかります。
通常の購入時の流れ
物件の見学
↓(1週間から2週間)
物件の申し込み、住宅ローンの事前打診
↓(1週間から2週間)
売買契約、住宅ローンの本審査
↓(2週間から1か月)
金銭消費貸借契約
↓(1週間)
決済、引き渡し
問い合わせが少なければ、物件の見学者もあらわれないでしょうし、
見学者があらわれたとしても、申し込みが入らなければ、1か月以内に売るということは非常に難しくなります。
早期売却する場合には、問い合わせの数や見学者の数を増やさなくてはいけません。
1-1.通常は売れるまでに3か月から6か月かかる
買い手が決まったとしても、ローン特約による契約の白紙解約(融資が不可だった等)や契約前のキャンセルもありえます。
そうなってしまうと、1か月から2か月無駄な期間をつくってしまうことになります。
中古物件の販売では、このような買い手のキャンセルはよくあることです。
そのようなことを想定してしまうと、売却までに3か月から6か月はかかってしまいます。
どの物件も3か月から6か月間の販売期間の間に、価格改定をしたり、買い手からの指値を受けて売買契約が成立することは多いです。
売却する為の期間が3か月から6か月かかる理由として、次のことがあげられます。
・販売開始するまでに2週間から3週間かかる
売主が売却依頼する不動産会社を決めるまでに1週間から2週間かかるでしょう。
複数の不動産会社に査定依頼をして、1社を決めて専任媒介契約を交わします。
不動産会社は、媒介契約を交わした翌日の7日以内にレインズに登録、販売図面の作成や物件調査を行います。
実際に不動産会社がネット広告掲載や売り出しをするまでに、2週間位かかるということです。
・販売開始をしてから2か月経つと、問い合わせが徐々に減ってくる。
販売当初の1か月が一番問い合わせが多い期間となります。1か月もあれば、物件を探している方に情報は広まります。
販売開始をしてから2か月から3か月経てば、徐々に問い合わせの数も減ってきます。
3か月以内に内覧者による申し込みが1件も無ければ、多くの方から相場より高いとみなされています。
もしも、このまま価格改定をしなければ、6か月で売れない可能性も十分にあります。
販売開始をしてから3か月を過ぎたのであれば、やはり価格改定の検討をしなくてはいけません。
競合の販売物件だけでなく、過去の成約事例も確認しておきましょう。
内覧者が何故、申し込みに至らなかったのか明確な原因を把握する必要があります。
内覧者の数が多かったのに申し込みに至らなかった場合には、土地建物に瑕疵(問題)があることが殆どです。
内覧数が少ない場合には、不動産会社の販売方法や広告掲載先を確認しておく必要もあります。
1-2.売れないときのチェックポイント
内覧数が少なければ、価格が高い又は需要が無いエリアの物件ということが考えられます。
東京23区の物件であれば需要が無いエリアということは考えづらく、価格が高いと考えられます。
売れないときのチェックポイント
・ネット広告やレインズ掲載がされているかどうか(エンドユーザーに情報が広がっていない)
・土地建物に瑕疵があるかどうか(雨漏り、傾き、木部の腐朽、境界や近隣問題など)
・価格が高い(長年売れていない近隣物件の価格を参考にしている)
・リフォームや建築プランが用意されていない(築古物件)
1-3.早期決済してくれるのは買取業者
売り急ぎ(1か月以内の売却)であれば、不動産業者による買取、またはすぐに決済してくれる個人の不動産投資家を探さなくてはいけません。
買取り業者のメリットとして、直接依頼する場合には仲介手数料がかかりません。
また現況渡しという条件で買い取ってくれます。
残置物の撤去をせずに引き渡しができる、また境界確定無しで対応してくれることがあります。
残置物の撤去や確定測量等で2か月から3か月かかってしまうことがあるため、買取り業者の利用は売り急ぎの方に向いています。
1-4.売却方針をきめる
高く売るという方針でなく、早く売ることを優先させるならば相場よりも安くなってしまうことを受け入れなくてはいけません。
一般市場で売却をするならば、相場よりも安い価格設定で不動産のポータルサイトやレインズに物件掲載をする必要があります。
相場が2300万円の物件を、多少安くして2100万円という金額で売り出すよりも、2000万円という金額のほうが圧倒的に早く売れることがあります。
ポータルサイトでは、買い手側のエンドユーザーは価格で絞り込み検索(500万円区切り)をするために、2000万円以下という価格で探してる人の条件に引っかかるからです。
買取業者に依頼する場合には、仲介会社とわざわざ専任媒介契約を交わす必要がありません。
インターネットで買取業者を探しやすくなってる時代の為、自分でも買取業者を探しつつ
仲介会社2社から3社に買取業者を探してもらえばいいのです。その場合には、一般媒介契約を交わしておくとよいでしょう。
自分で買取業者を探して直接契約を交わす場合には、仲介手数料がかかりません。
1-5.相場で売れる物件、相場で売れない物件
不動産の相場は、国土交通省の公示地価のサイトや成約事例を参考にします。
但し、中古マンションと違って、一戸建てや土地の場合には査定をすることが難しいです。
土地の面積や形状・道路付け等の減価要因が多ければ、買い手も減ってしまうからです。
物件によっては、住宅ローンを利用できないこともあります。
たとえば、既存不適格や旧耐震基準、間口が狭い、未接道の土地等は、住宅ローンの利用が難しいです。
その他にも、築古物件は登録免許税や不動産取得税の軽減措置が適用されない、住宅ローン減税を利用できない等のデメリットもあるのです。
そのような物件は相場で売れない物件です。
1-5. 1か月で家を売る手順
1か月で家を売るには、不動産業者による買取が無難です。
仲介会社に、顧客を含む個人の買い手を探してもらうことも出来ますが、価格交渉や条件等の要望があると返事も遅くなります。
不動産の買取業者であれば、1週間以内には正式な返事(買取資金の調達を含め)をくれるでしょう。
不動産会社3社から4社に査定をしてもらう
買取金額が一番高かった不動産会社に買取の依頼をする
条件の確認をしてから1か月以内に決済をしてもらう
引き渡し、決済
1-7.中古住宅が売れない時期
年末年始を含む12月から1月、お盆休みを含む8月にかけて、中古住宅が売れない時期です。
売れない時期というよりは、単純に休みが多い時期で、仲介会社も休みをとるからです。
賃貸の繁忙時期は12月から3月となりますが、売買においては無関係です。
仲介会社の休みが多い時期であれば、中古住宅が売れないからと嘆く必要はありません。
売り急ぎの事情がある場合を除いて、やはり3か月スパンで結果を見たほうが良いでしょう。
さいごに
1か月で不動産を売るためには、相当魅力的な物件でないと難しいです。
短期間で家を売却する場合には、立地や建物に魅力が無ければ価格を下げるより他ありません。