家を売却するときにかかる諸費用の中で、売主負担が大きいものは仲介手数料です。
物件価格によって不動産会社に支払う仲介手数料の上限は異なります。不動産会社に支払う仲介手数料は20万~30万円程度の場合もあれば数百万円になってしまう場合もあります。
その次に売主負担が大きいものとして、売却した後に支払う税金でしょう。
もしも、家の売却で譲渡益が発生するのであれば、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得(譲渡益) = 収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
実際には自宅を売却する多くの方は、3,000万円の特別控除の特例や軽減税率の特例を利用できる要件を満たしているため
譲渡所得税が発生しないことが多いです。
家の売却にかかる諸費用は思ったよりも、少ないものです。
個人の方が家を売る時には消費税もかからないですからね。不動産会社が所有してる不動産を売る時には、消費税がかかります。
1.家の売却で諸費用を抑える方法
家を売却するときの諸費用を抑えて、最終的な手取り額を増やしましょう。
仲介手数料や税金を抑えるだけでなく、その他にもかかってくる諸費用をまず把握することが大切です。
マンションなのか、一戸建てなのかで、売却時にかかってくる諸費用もかわってきます。
一戸建ての場合には、土地を確定測量する為の費用がかかってくることがあります。
また建物に未登記部分があれば、建物を測量して表題変更登記をしなくてはいけません。その際にも表題変更登記の費用がかかります。
1-1.売却するときにかかってくる諸費用一覧
家を売却するときにかかってくる諸費用一覧をまとめました。
家を売却するときにかかる諸費用
仲介手数料・・・物件価格が400万円以上の場合には、価格×3%+6万円とそれに対しての消費税がかかってきます。
収入印紙代・・・売買契約書に貼付する印紙代です。売買契約書原本1枚ごとに印紙を貼付する必要があります。
司法書士に支払う報酬・・・抵当権抹消費用やその他手続きが必要になる場合(権利証の紛失、登記情報の住所変更されていない、未登記等)には費用が発生します。所有権移転の為の費用は買主負担です。
譲渡所得税・・・3000万円以上の譲渡益が発生すれば、マイホームだったとしても譲渡所得税が発生します。
測量費用(戸建て・土地)・・・土地の測量や隣接地との境界確定をするための費用です。
解体費用(戸建て)・・・更地渡しの場合には、古い建物を解体して更地で引き渡します。
ローン残債の返済を終えている場合には、抵当権抹消費用などかからなく、売却にかかる諸費用が仲介手数料や印紙代のみで済むことが多いです。
こちらのページもご参考くださいませ。
また家を売却するときに戻ってくるお金もあります。
家を売却するときに戻ってくるお金
固定資産税、都市計画税・・・1月1日時点の所有者に納付書が4月から6月に送られてきます。引き渡し日以降から12月31日迄分を日割りで精算してもらえます。
住宅ローンの保証料・・・借入時に諸費用として一括で支払っている場合には、まだローン期間が長く残っているとすると残債を返済した時にお金がかなり戻ってくることになります。
火災保険料・・・保険内容によって異なりますが、解約手続きをしておきましょう。まだ購入してから10年ぐらいで35年の火災保険に加入していたのであれば、手元に戻ってくるお金も大きくなります。今は火災保険の期間が最長10年になっているため、今後は火災保険の解約返戻金も少なくなってくるでしょう。
税金・・・マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき、一定の要件を満たせばその譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除することができます。
1-2.仲介手数料をまけてもらう方法
不動産会社が報酬として受け取れる上限金額は3%+6万円と消費税です。殆どの不動産会社は上限金額を請求してくるでしょう。
物件価格が高ければ仲介手数料の上限金額も高くなるため、まけてくれる可能性はあります。
諸費用の中で占める割合が高い仲介手数料をまけてもらう方法として、下記の2パターンがあげられます。
ⅰ 不動産会社の囲い込みを承諾する
不動産会社がレインズに掲載して、他社が客付けをしてきた場合には買主から仲介手数料をもらえません。
不動産会社がレインズに掲載しないで、自社の営業活動のみで積極的な広告活動や現地内覧会・オープンルームを行って買主をみつければ、買主からも仲介手数料をもらうことができます。
売主が不動産会社の囲い込みを承諾して、買主を見つけてもらって、売主の仲介手数料を半額もしくは無料にしてもらうということです。
但し、この方法はその不動産会社に営業力や広告力があるのかどうか慎重に見極める必要があります。
もし、不動産会社からそのような提案をされたとしても、3か月間の期間限定等で行うべきでしょう。
ⅱ 物件価格が高ければ、20%から30%分減額してもらう
どこの不動産会社も預かり物件(専任)を取得したがっています。大手不動産会社では預かり物件を増やすために郵便ポストへの投函チラシ等を大量に投入してるぐらいです。
3000万円から4000万円を超える不動産であれば、不動産会社にとって片手報酬でも100万円を超えてきます。
中小の不動産会社は預かり物件を取得できるのであれば20%から30%分減額してくれるかもしれません。大手不動産会社だと仲介手数料を割り引いてくれることは無いでしょう。
但し、その物件から遠方の不動産会社には、売却依頼するのは止しましょう。その物件から車で30分以上かかる不動産会社であれば、案内業務に力を入れてくれないことがあります。
1-3.物件価格によって仲介手数料は大きく違う
物件価格によって、不動産会社に支払う仲介手数料は大きくちがってきます。
仲介手数料は売買代金の額に下記の割合を乗じて算出します。
売買に係る代金の額 | 割合 |
---|---|
200万円以下の金額 | 5.4% |
200万円を超え400万円以下の金額 | 4.32% |
400万円を超える金額 | 3.24% |
もしも、物件価格が200万円であれば、不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限は108,000円となります。
4000万円であれば、1,360,800円が受け取れる仲介手数料の上限となります。
たとえ、200万円の物件と4000万円の物件の仕事量が同じだとしても、上限を超えた仲介手数料は受け取れないのです。
東京23区であれば、200万円以下の不動産はめったに無く、数千万円以上の不動産が殆どです。
不動産会社としては上限一杯の仲介手数料をもらいたいでしょうが、物件価格が高ければ仲介手数料の割引をお願いしても承諾してくれる可能性は高いです。
ただし、物件によっては、不動産の調査や隣接地の交渉・買主のローンの手配など、不動産会社の負担が大きくなることもあります。
仲介手数料の割引を不動産会社に求めることは、時として不動産会社のサービスの低下を招いてしまうかもしれないことを知っておきましょう。
1-4.譲渡所得税を抑える為に知っておくべきこと
東京23区の物件は価格が高いため、売った時の税金負担も大きくなります。
もちろん、売った時の譲渡所得が発生しなければ、譲渡所得税も発生しません。但し、購入した時の物件価格がわからなければ、譲渡所得税が発生してしまうのです。
また相続した子供が居住用として住んでいなかった場合には、3000万円の特別控除の特例を使えません。
所有者が住まなくなった日から3年目の年の12月31日を過ぎたら、同じく3000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は受けることもできなくなります。
なるべく譲渡所得税を抑えるためには、上記のフローにある特例を活用してください。
さいごに
家を売る時の諸費用を抑えるためにも仲介手数料、そして税金を抑えることを考えましょう。
確定測量や解体費用、残置物の撤去費用などは家を売るための必要経費です。これらの費用は捻出しておきましょう。