建物が傾いている原因とリフォーム工事による解決方法

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2015年10月に大手不動産会社が販売した横浜市都筑区のマンションの傾き問題が世間をにぎわかせました。

2006年当時に販売された大型マンションです。

住民が建物の異変に気が付いたのは2014年11月でした。隣の棟への渡り廊下の手すりが約2.4cmずれてることに気づき、管理組合へ報告したことでが事の発端です。

 

事業主である大手不動産会社の調査の結果は打ち込まれた杭が不十分だったのです。

支持層まで打ち込まれた杭52本の内、6本が支持層まで届いていない、2本が打ち込み不十分という結果でした。

 

 

このマンションの傾き問題は世間をにぎわかせましたが、ニュースに取り沙汰されてないだけで新築の戸建てや中古戸建てではよくあるお話です。

中古物件の場合には個人間で売買されていると瑕疵担保免責とすることも多いため、責任を追及するのが難しくなります。

 

今、住んでいる家、購入したばかりの家が多かれ少なかれ傾いていると感じる人は多いでしょう。

建物の傾きが大したことない原因であれば良いのですが、建て替えするレベルの問題になってくる場合もあります。

 

1.建物が傾いている原因

今住んでいる家、購入したばかりの家の床や建物が傾いているのであれば必ず現地調査をしてもらいましょう。

だいたいは建物に下記のような異変に気づき、傾きの原因を心配する方は多いです。

  • 住んでいる家が一部床が傾いている
  • 中古住宅の購入を検討しているが、サッシの建て付けが悪く戸締りが上手く出来ない
  • 2Fの東側のお部屋が沈下している、1Fのお部屋は問題ない
  • 外壁や基礎のひび割れが目立ってきている
  • 購入したばかりのリビングが少し傾斜してる

 

原因を調べない限りは対処方法や解決方法がかわってきます。それにともなってリフォーム工事費用も変わります。

  • 地盤沈下によるものなのか
  • 建物の基礎や土台が劣化しているのか
  • シロアリによる木部の浸蝕
  • 床下の根太が腐朽しているのか
  • 床束が浮いてしまっている

 

1−1.地盤沈下が原因

購入した不動産の土地が軟弱地盤である原因の場合は大変です。

新築住宅でも購入してから数年後に建物が傾いたり、基礎に大きな亀裂が生じてしまい欠陥住宅としてトラブルになることもあります。

 

軟弱地盤の場合にはリフォーム工事で対応することがむずかしく、高額になってしまうことが多いです。

 

家を建てる前の地盤改良でもお金はかかります。

建物が建ってる状態では300万円以上かかることもあります。

 

建築後には地盤改良と基礎の新設や補強工事をすることになります。

建物の基礎はベタ基礎・布基礎・フーチング無しの布基礎・石積みや玉石積みなどの基礎などが有ります。

基礎のひび割れの原因が地盤沈下によるものなのか築年が古く劣化によるものなのか調査します。

 

軟弱地盤は主に次のようなところです。

  • 河川の川沿い
  • 沼・水田・畑・湿地・谷・海岸などを埋め立てたところ
  • 海岸低地や旧河道、自然堤防
  • 丘陵地で造成された宅地(切土やも盛り土が混在してるところ)

ジオテック株式会社が公開してる『住宅地盤情報提供システム』です。無料で軟弱地盤マップを見ることができます。

 

1−2.土台や床下、柱や梁の劣化が原因

土台・床下・柱・梁は住宅を支える重要な箇所です。

土台や大引きの劣化、床下の根太の腐朽や床束の浮き、シロアリによる木材の食害の可能性がありえます。

 

地域全体の地盤沈下の問題であれば、家を補修することも困難ですが、

床下の問題であれば補修や補強の判断がしやすいです。

 

築年数30年以上経ってる物件や旧耐震基準の物件は多かれ少なかれ、床下の老朽化はかなり進んでいるはずです。

水まわりの箇所は特に傷みやすいです。土台や柱の損傷、荷重に耐えられず曲がってしまった梁が原因で床が傾くことはあります。

 

2.リフォーム工事で解決するには

地盤沈下によるものなか、土台や床下・柱や梁の劣化によるものなのかで所有者の判断も異なってくるはずです。

原因によって費用や解決方法がかわってくるからです。

 

2−1.土台や床下の補強工事をする

土台の取替えや床下の補強工事を行います。水回りなどの床下は腐朽してる場合が多く、新しい土台に交換します。

床下の腐朽してる箇所は取替え、根太等も全面取替え、構造用合板や金物で補強する場合もあります。

 

柱は腐朽部分を切断して根継ぎを行うか、柱をそのまま交換します。

 

ジャッキアップが伴う工事になってくると費用負担も高くなってきます。

あわせて床下の換気対策を施しておきます。

 

2−2.地盤改良もしくは建替え

地盤全体が軟弱地盤の場合には一時的に傾きを解決できたとしても再沈下する可能性があります。

地盤調査をした上でリフォーム工事をするか、建て替えをするか判断をします。

 

建物が建ってる状態での軟弱地盤に対する地盤改良は下記の通りです。

特殊ウレタン樹脂やセメント系固化材を注入する工法もしくは基礎の下に杭を設置する工事となります。

地盤改良した上で基礎の補強工事や土台工事をおこないます。

 

 

3.中古住宅を購入するときは気を付ける

中古住宅を購入するときは複数回は内覧してから購入を検討しましょう。

1回の内覧では、建物の傾きにそこまで敏感になってなかったという方も多いです。

すでに建築されてる建物の地盤補強工事はむずかしいのです。

補強工事は数百万円以上かかり、購入後の暮らしも不自由になってしまうことを考えると慎重に購入する必要があります。

 

3−1.建物の傾きを簡単にチェックする

中古住宅の購入時では必ず建物の傾きをチェックしましょう。できればビー玉やボールよりも水平機をつかったほうが良いです。

ボールでは床材や残置物によっては転がりづらい場合があります。

  • 外壁や基礎のひび割れチェック
  • 土台や床、建物の傾き・・・ピンポン玉やゴルフボールで転がると1,000分の6以上の傾きの可能性あり。最近では携帯での傾き調査アプリがあります。
  • 床下や柱のチェック・・・畳や床下収納から観察できる場合があります。

 

3−2.仲介会社の営業マンが原因を把握してないこともある

中古住宅の仲介会社の営業マンでも、築年数が古い物件の場合には経年劣化と判断して地質調査や確認をしないことが多いです。

築30年を超えた建物は価値なしと判断して、古家付き土地として瑕疵担保免責で売買されることも多いからです。

買主からしたら、建て替えやリフォームをするにしても地盤の問題は非常に大切ではあります。

 

3−3.建物診断や地盤専門会社の診断を受けておく

もし、購入した家や長年住んでいる家の傾きが心配であれば地盤専門の会社に調査をお願いしましょう。

一戸建てであれば数万円で調査をすることが可能です。

 

スウェーデン式サウンディング試験による調査を行っているジオテック株式会社が有名です。

床下や土台、小屋裏など自分で判断できない箇所はリフォーム業者に見てもらうことが確実です。

 

3−4.不同沈下の目安

3mm、1,000分の3未満の傾きであればたいして感じることはないですが、

6mm、1,000分の6以上の傾きだと普通の人は建物の異変に気づきます。

外壁や基礎に亀裂や建具の閉りが悪いなど悪影響が出てると、不同沈下の可能性があります。

  • 初期段階(変形角の限度1/1000)・・・モルタル外壁・コンクリート犬走りに亀裂が発生する。
  • 第1段階(変形角の限度3/1000)・・・つか立て床の不陸を生じ、布基礎・土間コンクリートに亀裂が入る。
  • 第2段階(変形角の限度5/1000)・・・壁と柱の間に隙間が生じ、壁やタイルに亀裂が入る。窓・額縁や出入口枠の接合部に隙間が生じ、犬走りやブロック塀など外部構造に被害が生じる。
  • 第3段階(変形角の限度10/1000)・・・柱が傾き、建具の開閉が不良となる。床が傾斜して支障を生じる。
  • 最終段階(変形角の限度15/1000)・・・柱の傾斜が著しく倒壊の危険がある。床の傾斜もひどく使用困難である。

不同沈下による障害の段階目安です。 出典:日本建築学会

 

まとめ

建物の傾きに悩んでる方は地盤調査と建物調査のどちらも行っておきましょう。

安心して住み続けるためにも早めの解決が不可欠です。

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