既存不適格物件とは、現行の建築基準法の規定を満たしていない建物のことを指します。
これは再建築不可物件や違反物件、違法物件とは違います。既存不適格物件に関しては増築やリフォームの制限を緩和する規定も設けられています。
既存不適格を買い取ってくれる不動産業者は多く、問題なく売却することはできます。
目次
1.既存不適格とは
既存不適格物件は、建ぺい率や容積率がオーバーしているなど、現行法令に適合しなくなった物件のことを指します。建築当初は法令に適した建物であったが、法改正により適合しなくなってしまったのです。
建ぺい率や容積率オーバーの他に、以下の例も既存不適格物件に該当します。
高さ制限や防火地域指定・日影規制などの改正により、高さをオーバーしている・防火構造になっていない物件
- 高さ10mの高さ制限ができた⇒高さ12mを超えているので既存不適格に
- 防火地域指定ができた⇒建築材料が防火構造になっていないので既存不適格に
- 日影規制が設けられた⇒建物が日影規制をこえてしまったので既存不適格に
- 耐震基準法ができた⇒旧耐震基準の建物で耐震基準を満たしていなく既存不適格に
違法建築物と同じように見る方もいますが、まったく違います。
違法建築物とは、法律に基づく確認申請を行わずに勝手に建物を建てたり、増築したりしてしまった物件のことを指します。自治体から是正措置を求められる場合や近隣住民からの苦情や不満が所有者にくる場合があります。
一方、既存不適格物件は法令違反ではなく、建築当初は適合していたものの、法改正により不適格になったものです。
1−1.東京都内では多い既存不適格の物件
東京都内では住宅の数も多い分、再建築不可物件や既存不適格物件が多いのです。
一戸建てだけではないのです。東京都23区内の旧耐震基準マンションの約半分近くは既存不適格(現行の耐震基準を満たしていない)といわれています。また、容積率オーバーしている築古の分譲マンションも多く見られます。
建て替えをしてしまうと建築面積が小さくなってしまうので、一戸建ての場合にはリフォームで維持し続ける方も多いです。建築基準法上の道路に接道していれば、建築面積は小さくなることがありますが、建て替えは可能です。
しかし、分譲マンションの場合は状況が異なります。建替えを行う際には、区分所有権者の4/5の同意が必要となるため、建て替えが容易ではありません。
1−2.完了検査をうけているかどうか
不動産取引において重要なポイントとなるのが完了検査の有無です。完了検査が行われていない場合、既存不適格でなく、違法建築物の可能性があることに注意が必要です。
平成10年時点では、完了検査を受けている建物は約38%しかありませんでしたが、平成19年以降は90%以上に増加しています。
完了検査をうけていない建物には融資を控えるよう銀行に行政指導がいった背景があります。
1−3.建ぺい率・容積率オーバーとは
建ぺい率・容積率オーバーとは、敷地面積に対する建築面積や延床面積の割合が法律で定められた基準を超えている状態のことを指します。
東京都内でも多く見られる既存不適格物件の中で、建ぺい率・容積率オーバーの物件が最もよく見受けられます。このような物件は将来的に同規模の建築が難しいため、建て替え時に制約が生じます。
さらに、このような既存不適格物件を購入する際には住宅ローンを組むことが困難となることがあります。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。
容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことです。
道路と接道していない再建築不可物件や建ぺい率オーバーしてる狭小物件、建ぺい率が10%から20%超過してる物件は、購入希望者が銀行から住宅ローンを融資してもらうことが難しいのです。
2.既存不適格物件を売却するには
不動産を売却する前に、物件が既存不適格になった理由や違法建築物件でないかを確認することが重要です。違法建築物件は取引が難しい場合がありますので、事前に確認しておくことが大切です。
また不動産買取会社に買い取りを依頼する際には、複数の不動産買取会社に査定依頼を行うことがおすすめです。複数の査定を比較することで、より適切な価格を見極めることができます。
再建築不可物件と比べて、既存不適格物件は建ぺい率次第で融資してくれる銀行もあります。
個人の方では融資が組めない物件は現金での買い手に限られることがあり、売却が難しい場合があります。この点を考慮して、適切な売却戦略を立てる必要があります。
- 物件の条件(建物の大きさ、間取り、築年数、駐車場の有無、修繕歴、欠陥の有無)
- 土地の条件(建て替えた後の建築面積、接道状況)
- 周辺環境の条件(駅からの徒歩時間、周辺施設、治安、人気エリア)
2−1.古家付き土地として売る
建ぺい率や容積率が少しのオーバーであれば、古家付き土地として売ることもできます。
築年数がかなり経っている、建物がかなり傷んでいる場合には、買い手がそのまま住むとは考えられません。
建物によってはリフォームが難しい状態の場合もあります。ただし、人気のあるエリアでは土地を探している方も多く、買い手を見つける可能性が高まります。
既存不適格物件や築古物件の場合、境界があいまいになっていることがあります。売却を検討する際には、確定測量を行い、正確な境界を確認する必要があります。
古家付き土地として売却する際には、物件の状態やエリアの需要をよく理解し、適切な価格設定や条件を考慮することが重要です。
2−2.住宅ローンの利用の制限
建蔽率や容積率に関しては、10%から20%を超えない範囲内であれば、融資の相談が可能な銀行も存在します。
また三井住友トラスト・ローン&ファイナンスの住宅ローンは、金利が高めではありますが、多くの方が利用しています。
購入希望者と売買契約が成立したとしても、住宅ローンが承認されないと、決済まで進展させることができません。
また、金融機関から購入希望者に自己資金や共同担保を求められる場合もあります。そのため、買い手が見つかるまでに時間がかかることも考えられます。
2−3.買取業者の利用
不動産の買取業者を利用される方は多くいます。
以下のような物件は融資が難しく、買い手が遠慮することがあります。
しかし、買取業者は現金決済で対応してくれるため、融資による白紙解約の心配がありません。
また、契約不適合責任の免責で対応してくれるので、売った後の心配もありません。
- 建ぺい率、容積率オーバーの物件、既存不適格物件
- 築古物件、旧耐震基準の物件、狭小物件
- 再建築不可物件
- 事故物件、ワケアリ物件、心理的瑕疵のある物件
再建築不可物件の買取に関して詳しくは『再建築不可買取~当社が再建築不可を高く買い取る4つの理由』をご参照下さい。
当社では既存不適格物件や再建築不可物件、古家を積極的に買い取りしております。
不動産仲介会社様や売却、買取をご希望されてる方は下記のご連絡先か、問い合わせフォームよりお問い合わせ下さいませ。
株式会社HomeWay
東京都渋谷区渋谷2-4-6 サンゼンビル5F
Tel 03-6427-4177 Fax 03-6427-4178
Mail:info@home-way.jp
宅建免許番号 東京都知事(3)第91180号
3.リフォームして活用するには
2004年の法改正により、既存不適格の物件は段階的な改修が可能となりました。再建築不可物件と比べて、増築や改修ができる利点があります。
さらに、2009年には既存不適格建築物の増築に係る基準が緩和されました。
ただし、注意すべき点として、以下の条件を満たす必要があります。
・既存部分は耐久性等の関連規定に適合していること
・釣り合いよく耐力壁を配置すること
これらの基準に適合すれば、構造計算は不要とされています。
リフォームを通じて、既存不適格の物件を活用する際は、法律の改正に留意しつつ、適切な工事を行うことが大切です。専門家のアドバイスを仰ぎながら、より良い不動産活用を目指しましょう。
3−1.数年後や将来的に売却するかもしれないなら
耐震補強や構造上主要な箇所の補強・床下メンテナンスを行っておきたいところです。
建物が傷まない、長く住むことができるためにも計画的な補修や点検が必要です。シロアリ駆除等の薬剤散布などは5年おきが目安です。
- 基礎や土台 点検や補修の目安:5年毎 リフォーム工事の目安:30年から35年
- 屋根 点検や補修の目安:5年毎 葺き替え工事の目安:20年から25年
- 外壁塗装 補修の目安:3年毎 塗装塗り替えの目安:10年から15年
- 外壁サイディング 点検や補修の目安:3~5年毎 塗装塗り替えの目安:15年
- フローリング ワックスがけや補修の目安:2~5年毎 張り替えの目安:10年から15年
- 畳 表替えや裏返しの目安:2年毎 畳交換の目安:15年
- 給排水管 配管クリーニングの目安:毎年 配管工事や交換の目安:20年
3−2.建て替えかフルリフォームか
建て替えよりも全面リフォームの方が経済的であれば、リフォームを検討しましょう。
例えば、木造2階建ての30坪の家を解体する場合、解体費用は200万円から300万円かかります。(解体方法によって費用は異なります)
また、建て替え中の転居費用としてさらに100万円から200万円かかるとすると、合計で200万円から400万円になります。
同じ規模の建物を新築する場合には、30坪で2100万円(坪70万円仕様)かかるとして、合計で2500万円必要となります。
一方、30坪の家ならば、リフォームで1500万円~2000万円で新築同様にすることができます。土台や柱、床下の状態次第ではリフォームのほうがお得といえるかもしれません。
建て替えとフルリフォームのどちらが適しているかは具体的な状況によります。十分な検討と専門家のアドバイスを得て、最善の選択をしましょう。
まとめ
23区でも既存不適格物件は需要があります。弊社では再建築不可物件だけでなく、既存不適格物件の買取も積極的に行っています。
特に建ぺい率や容積率オーバー、狭小物件などの買取であれば、当社にご相談いただけると幸いで御座います。
コメント
コメントは停止中です。