親子間、親族間の不動産売買を行う際のポイントと注意点

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土地や建物などの不動産を所有している場合、親子間や親族間で売買することがあります。しかし、このような場合は通常の売買とは異なる取り扱いがあり、注意が必要です。

親子間での売買の際には、不動産仲介業者を入れずに直接取引することが多くなりますし、生前贈与とみなされて将来の遺産トラブルにつながる可能性も高くなります。

また、譲渡に際しては不動産の譲渡所得税が発生しますが、贈与と見なされた場合には高額な贈与税が課税される可能性もあります。

以上を踏まえ、以下に親子間や親族間で不動産売買を行う際のポイントと注意点を解説します。

1.不動産仲介業者を入れない問題点

親子間や親族間で土地や建物などの不動産を譲渡するケースは多く存在します。

例えば、将来の財産移転のために生前譲渡を行う場合や、事業承継のための譲渡などが該当します。

また、単に親族が所有する家に住みたいケースや、高齢の親族が不動産を活用できなくなったために若い人が購入するケースもあります。

このような親子間や親族間での不動産売買では、不動産仲介業者を介在させないことが一般的です。

遠い親戚間の取引などでは業者の依頼もあるかもしれませんが、親子間の譲渡の場合、ほとんどの場合において不動産業者は関与しません。

不動産仲介業者は宅地建物取引業の資格を持ち、不動産取引が安全に行われるように重要な役割を果たします。

不動産に関する重要事項の説明や書面の交付、契約書作成、不動産の問題点のチェックなどを行います。

このような不動産業者が間に入らないことで、不動産トラブルが発生するおそれがあります。

不動産業者が介在しない場合、不動産トラブルのリスクが生じる可能性があります。例えば、不動産の不備や不良(問題)が見逃されて売却されてしまい、買い主が売り主に対して契約不適合責任を追及する場合などが挙げられます。

また、適切な契約書が作成されないことや、不適切な契約書が作成されて後々のトラブルを引き起こす可能性もあります。

不動産の登記申請が適切に行われず所有名義が放置されたり、領収証が発行されなかった結果、売買が贈与とみなされる問題も発生することがあります。

以上のように、親子間や親族間で不動産の売買をする際には、不動産仲介業者を介在させないことによって様々な問題やトラブルの原因が生じる可能性があります。

もし心配な場合には、親子間の取引であっても不動産業者に相談することが一つの有益な選択肢です。

2.親子間の不動産売買における譲渡所得税の考慮点

親子間で不動産の売買を行う場合、不動産の譲渡所得税が課税される可能性があります。

譲渡所得税とは、不動産の売却によって得られた利益である「譲渡所得」に対して課税される税金のことです。

例えば、父親が息子に不動産を譲渡した場合、父親に譲渡所得税が課税される可能性があります。

不動産の譲渡所得税の計算方法は、以下のとおりとなります。

譲渡所得税=不動産を売却した価格-(不動産を取得したときの費用+不動産を売却したときの費用)×税率

例えば、父親が3000万円で不動産を売却する場合を考えてみます。

父親が以前に2000万円で不動産を購入し、取得に200万円の費用がかかり、今回の売却に50万円の費用がかかったとします。

この場合、譲渡所得は次のように計算されます:

譲渡所得 = 3000万円 – (2000万円 + 200万円 + 50万円) = 750万円

譲渡所得税はこの譲渡所得に対して課税されます。

譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって異なります。通常は、不動産所有期間が5年以内の場合には15%の税率が適用されます。また、住民税の税率は通常5%となります。

ただし、居住用の不動産を売却する場合には、譲渡所得の控除が大幅に認められます。

具体的には、3000万円までの譲渡所得は控除の対象となるため、それ以上の利益が出た場合にのみ譲渡所得税が課税されます。

親子間や親族間の売買でも、対象となる不動産が居住用であれば、譲渡所得税の課税が免れたり、軽減されたりする可能性が高いです。このような知識を押さえておくことが重要です。

3.必ず不動産の登記名義書換をする!

親子間や親族間で土地の売買をする場合、登記名義の書き換えが煩雑な手続きであるため、放置されてしまうケースがよくあります。

お互いに「わかっているだろう」と思ったり、手続きが面倒だと感じて先延ばしにされたりすることがあり、名義書換を行わないことがあります。

法律上、不動産の所有権が売買や贈与、相続などによって移転しても、名義書換を行わないまま放置していても特に督促や罰則は存在しません。

しかし、不動産の売買が行われた場合には、必ず登記名義の書き換えを行うべきです。

名義書換を行わないと、土地の所有者は外部から見る限り以前の所有者のままであるため、様々な混乱が生じる可能性があります。

名義が変わっていないため、他の相続人はその土地が遺産の一部であると期待していたにも関わらず、相続が発生した際にいきなり過去に譲渡されたと知らされ、納得できずに遺産に関する問題が発生することもあります。

他の相続人が売買の事実を認めず、不動産が遺産分割の対象となってしまうこともあります。

また、詳細は後述しますが、登記名義の書き換えが適切に行われていなかった場合、税務署が不動産の売買を認めず贈与とみなし、高額な贈与税が課税されることもあります。

さらに、売買契約書などの作成が行われていない場合、後に登記名義の書き換えをしようとしても、もはや売買を証明する手段がないため、登記ができない可能性も高まります。

したがって、親子間や親族間での不動産売買においても、手続きを面倒がらずに迅速に登記名義の書き換えを行うことが重要です。

4.贈与とみなされる可能性に注意!

親子間や親族間での不動産売買においては、それが実際に売買であると認められず、贈与と見なされる可能性に注意が必要です。

贈与と認められると、高額な贈与税が課税される可能性があるためです。

例えば、父親から息子への不動産贈与の場合、贈与税の特例により贈与税を軽減できる場合もありますが、そうでない場合は贈与税の税率が著しく高くなります。

また、贈与と認められると、遺産相続時にも問題が生じます。

被相続人の生前に生前贈与が行われた場合、それは「特別受益」とみなされて、受益者の相続財産の取得分を減らされてしまうからです。

例えば、息子が父親から不動産を購入した場合、それが贈与と見なされ特別受益として評価される場合、息子は売買代金を支払ったにも関わらず、自身の相続財産の取得額が減少してしまうため、大きな不利益を被ることになります。

以上の理由から、親子間や親族間の不動産売買においては、贈与と認められる可能性に留意し、注意深く対応することが重要です。

5.贈与にならないためのポイント

以下では、親子間や親族間での不動産売買において、贈与と誤解されないためのポイントをご紹介します。

5-1.売買契約書を必ず作成する

不動産の売買が贈与とみなされないためには、必ず売買契約書を作成することが重要です。

売買契約書には、対象不動産の明確な指定、売買代金、支払方法や支払時期などを正確に記載する必要があります。

また、売買当事者双方が署名や押印をし、日付を明記します。この際、実印を使用することをおすすめします。

売買契約書は2通作成し、当事者双方が1通ずつ保管するようにしましょう。

5-2.領収証を発行してもらう

不動産の売買が贈与とみなされないためには、代金支払い時に適切に領収証を発行してもらうことが重要です。

分割払いで代金支払いを行う場合でも、手数料が発生するかもしれませんが、銀行振込などを利用して証拠が残るようにしましょう。

親子間や親族間の場合、領収証の発行を面倒に感じたり、まとめ払いや現金での手渡しをすることが多いかもしれません。

しかし、このような証拠が残らない支払い方法を選んでしまうと、後に税務署や他の相続人から「売買の証拠がない」と指摘された場合、反論する手立てがなく贈与とみなされる可能性が高くなります。そのため、面倒でも書類の発行を怠らないことが重要です。

5-3.登記名義の書き換えを必ず済ませる

不動産の親族間売買において、贈与とみなされないためには、売買契約後に速やかに不動産の登記名義を書き換えることが非常に重要です。

登記の際には売買契約書をもって手続きするので、登記原因として「売買」と記載されます。これによって、売買契約が行われた事実が明らかになります。

一方、登記手続きをせずに放置しておくと、後で登記しようと思った時に売買契約書を紛失してしまったり、売却した親が既に亡くなっており、売買契約書の再発行ができない場合があるため、結果的に贈与とみなされてしまう可能性が高まります。

以上のように、親子間や親族間で不動産の売買を行う場合には、一般的な取引とは異なるポイントや注意点がたくさん存在します。

ご不明な点や不安な点がございましたら、お気軽に当社にご相談くださいませ!

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