こちらのページでは、売主が不動産を売却する際にかかる仲介手数料から諸費用まで、わかりやすくお伝えしたいと思います。
- 現在、住宅を売りに出している方
- マイホームの住み替えを検討している方
- 相続不動産の売却を検討している方
- 仲介手数料や諸費用の知識をつけておきたい方
上記のように、はじめて住宅を売却する方は、ぜひ最後までご覧くださいね。
目次
1.仲介手数料がかかる
不動産を売却する際には、諸費用や仲介手数料がかかってきます。
仲介手数料がいくらかかるか、ご存知でしょうか。
仲介手数料は物件の成約価格によって変わってくるため、1億円の物件と1000万円の物件で比較した場合には、数百万円の仲介手数料の違いが出てきます。
不動産会社に支払う仲介手数料の報酬の上限は国土交通省によって決められています。
仲介手数料の報酬の上限の計算方法は決まっていて、ほとんどの不動産会社では上限の報酬で売主と媒介契約を結んでいます。
もしも、最終的な手取り金額を決めておきたいならば、どれぐらい仲介手数料と諸費用がかかってくるのか想定しておきましょう。
しかしそんな一方で「不動産会社に支払う報酬を少なくできないのか」「諸費用って支払う必要があるの?」という相談を受けることもあります。
そこで今回、仲介手数料や諸費用についての考え方を営業マンの立場としてお伝えしたいと思います。
現在不動産売却を検討されてる方、仲介手数料や諸費用について詳しく知りたい方は必見です。ぜひ最後までご 覧ください。
1-1.仲介手数料の計算方法
前述しましたように仲介手数料の報酬の上限額は国土交通省で定められています。
国土交通省は昭和45年に「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」を定めました。
この報酬以上の金額を不動産会社が受け取ってしまうと、宅建業法違反ということになります。
また宅建業法第46条4では、不動産業者は事務所の見やすいところに国土交通省が定めた報酬の額を掲示しなければいけないと定めています。
売買に係る代金の額 | 割合 |
---|---|
200万円以下の金額 | 5.4% |
200万円を超え400万円以下の金額 | 4.32% |
400万円を超える金額 | 3.24% |
たとえば、売買に係る代金の額が1000万円であった場合には、
200万円×5.4%+200万円×4.32%+600万円×3.24%
=108,000円+86,400円+194,400円
=388,800円 が仲介手数料の報酬金額となります。上記の表は消費税込みの金額となります。
不動産は高額であるため、東京で売買される不動産の価格の多くは400万円を超えるはずです。
そこで、不動産会社の営業マンの多くは、簡易計算方法をつかって、仲介手数料の金額は計算しています。
わざわざ掛け算+足し算を何度も行って報酬額を計算するのは面倒だからです。
簡易計算方法
この方法は売買代金が400万円を超える場合に、利用できます。
(売買に係る代金の額×3%+6万円)×108%
売買に係る代金の額が1500万円であった場合には、
(1500万円×3%+6万円)×108%
=51万円×108%
=550,800円 が仲介手数料の報酬金額となります。
本来の計算方法に比べて、誰でも簡単に計算できます。
仲介手数料(報酬)の決まりごと
- 宅建業者は国土交通省が定めた報酬上限額を超えて受けてはならない。
- 宅建業者は所有者との売却する際の媒介契約にあたって、報酬に関する事項を書面に記載しなければいけない
- 宅建業者は事務所のわかりやすいところに報酬の額を掲示しなければいけない
- 不当に高額の報酬を要求する行為を行ってはいけない
1-2.不動産会社によっては無料?
不動産会社の中には、仲介手数料を半額もしくは無料とうたって営業活動している会社もあります。
2,000万円の物件ならば、”712,800円”の仲介手数料がかかります。もしも、この仲介手数料が無料になるのならば、売主にとって最終的な手取り額も増えるし、非常に嬉しいことですが…
・仲介手数料無料の場合
2000万円の物件であれば、仲介手数料712,800円が0円になります。
もしも、不動産会社が売主の仲介手数料を無料にする場合には、買主を自ら見つけて買主から報酬をもらわないとタダ働きをすることになります。
仲介手数料無料で売却依頼を引き受ける不動産会社は、不動産業者間のサイト(レインズやATBB)には物件掲載しません。他の仲介会社からの客付けも断ります。
自社の顧客や自社の営業活動のみで買主を探すことになるのです。不動産売買は、レインズ経由で成約になる確率が高いため、仲介手数料無料で売却依頼をするとレインズ掲載されないことになるため、長期間売れないリスクが高まるだけです。
・仲介手数料が半額の場合
2000万円の物件であれば、仲介手数料半額だと356,400円かかります。
不動産会社によっては、仲介手数料半額もしくは割り引いた形で売却依頼を引き受けてくれるところもあります。
そのようなケースの多くは、その不動産会社の系列会社に勤めているという社員特典だったり、不動産会社の担当者が友人や知人だったり、すでに買い替え・住み替えで購入依頼の仲介手数料は受け取っているから売却依頼の報酬は割引している等のケースでしょう。
結局、不動産会社からしたら、買主を自ら見つけて買主から報酬をもらわないと、報酬に比べて労力や手間が大きいため、レインズに掲載されることはないです。
不動産売買にあたって、売却時に仲介手数料無料や半額にしてもらえたとしても、売主メリットはないということです。
1-3.仲介手数料を支払う時期
不動産会社と媒介契約を結ぶにあたって、報酬の金額や報酬の支払い時期を決めることになります。
不動産会社への報酬を支払う時期のパターンは2種類あります。
契約時と決済時の2回に分けて支払う場合と、すべての取引が完了した後(決済時)に1回で支払う場合です。
どちらにしても、買主から受け取った売買代金(手付金や残代金)の中で売主が精算できるように、不動産会社は売主都合であわせてくれるため、売主が仲介手数料を支払えないという心配はないはずです。
1-4.金額が安すぎる物件
気をつけていただきたいのは1000万円以下の物件、価格が安いことから「仲介手数料が安くなる」などの理由により、不動産会社が広告活動や営業活動の手を抜いてしまう場合がよくあります。
仲介手数料の上限報酬は前述したとおり、決まっています。
このような価格が安い物件にありがちなのは、売却依頼した不動産会社が物件情報をレインズやネット上に掲載せずに、囲い込みをおこない、自分たちで買主を見つけようとします。
価格が安いからこそ、仲介手数料を売主、買主からもらわないと報酬が安くなってしまうからです。レインズに掲載されない場合もあるため、注意が必要です。
2.不動産売却にかかる諸費用
不動産を売却するにあたって、仲介手数料以外にも諸費用等がかかってきます。
売却する不動産が、土地、一戸建て、マンション、アパート、収益物件なのかで諸費用や精算金が変わってきます。
確認しておきましょう。
2-1.司法書士の報酬
司法書士は不動産売買の登記を行ってくれます。書類作成や登記申請といった内容です。
売主から買主へ所有権移転するに司法書士に依頼することになりますが、その司法書士報酬は買主負担が一般的です。
売買契約書の条項に、所有権移転登記の申請費用は買主負担であることが記載されてるはずです。
但し、売主にて権利証を紛失してしまってる場合、権利証・登記識別情報に代わる本人確認情報を司法書士が作成しなければいけません。
その費用が5万円から10万円かかることがあります。
他にも住所変更をしていなかった場合、相続登記が終わってなかった場合に、売主負担で司法書士への支払いをしなくてはいけません。
住所変更登記や相続登記は自分で法務局に行って申請をされる方も多く、登録免許税が安ければたいした金額になりませんので、売却依頼する前に自分でやっておくことです。
2-2.印紙代
売主が個人の方であれば、買主に渡す(売買代金の)領収書に印紙を貼る必要はありません。
売主が法人であれば、受領する売買代金の金額に応じて、領収書に印紙を貼らなくてはいけません。
売買契約書に貼る印紙代は、全額負担なのか、印紙代を売主買主双方で折半するのか、不動産会社に確認をお勧めいたします。
(売買契約書原本を売主買主それぞれ必要とする場合には、全額負担となります。原本を1通、コピーを1通どちらかがとする場合には、印紙代折半とする場合があります。原本1枚ごとに印紙を貼る必要があるのです)
契約金額 | 印紙税 |
---|---|
10万円越え 50万円以下 | 200円 |
50万円越え 100万円以下 | 500円 |
100万円越え 500万円以下 | 1000円 |
500万円越え 1000万円以下 | 5000円 |
1000万円越え 5000万円以下 | 1万円 |
5000万円越え 1億円以下 | 3万円 |
1億円越え 5億円以下 | 6万円 |
5億円越え 10億円以下 | 16万円 |
2-3.境界確定費用
もし土地や一戸建て、アパートなどであれば境界明示や境界確認が必要となります。境界線がはっきりしていない、境界が明示されない物件は買われづらくなります。
実測売買をする場合には、土地家屋調査士に依頼することになります。土地の大きさや形状、境界確認を行う関係者の数などによって30万円から100万円と測量費用は変わってきます。
また公簿売買であっても、境界標や測量図などがない場合には、境界確定をするにあたって土地家屋調査士に依頼をしないといけません。安くても30万円から40万円はかかってきます。
境界確定を行う場合には3か月から4か月かかる場合もあります。不動産会社に売却依頼をする段階で、土地家屋調査士を紹介してもらえるはずです。
この境界確定費用も、不動産の決済のタイミングで精算をしてもらえるようにしましょう。
2-4.税金
不動産を売却(譲渡)した際に、譲渡益が発生すれば、譲渡益に対して税金が発生します。
ただし、所有状況や所有年数などによって、税金の特例が受けられるかどうか、また税率が変わってきます
もちろん、譲渡益はなく、譲渡損失が発生している場合には税金は発生しません。
自ら住んでいた居住用不動産の売却の場合には、3000万円の特別控除が利用できます。
3.思わぬ費用がかかる
仲介手数料や諸費用以外でも、売却するにあたって思わぬ費用がかかってしまったと思う人は多いと思います。
下記の費用は、安い業者や良心的な業者に依頼すれば、安く行ってくれる場合があります。
しかし、売買契約してから引き渡しまでに、売主にて済ませておく必要があるため、あらかじめ早めに手配しておくことが大事です。
3-1.残置物の撤去費用
一戸建てやマンション、アパートなどの住宅を引き渡す際には、家具家電や家庭用品、ゴミ等の残置物を処理しておかないといけません。
もし相続で親の実家を引き継いでいたり、買い替えや住み替えで新居の家具家電を一から揃えている場合には、結構な量の残置物があるでしょう。
残置物の撤去費用は回収業者によってゴミの量や種類によって費用はことなりますが、30坪住宅であれば30万円から50万円位かかってきます。
業者に処分してもらうと費用がかなりかかってしまうため、粗大ごみやゴミの日に小分けして処分していくことと、車があれば直接廃棄物処理センターに持ち込んでしまったほうが費用の負担は少なくなります。
売却を依頼する前に、あらかじめて片付けはしておいたほうが良いでしょう。
3-2.修繕費用やリフォーム費用
築年数が古い住宅や建物となると、修繕やリフォーム費用が必要になってくるかもしれません。
雨漏りや漏水が確認できれば、修繕しておかないといけません。漏水に関しては、宅内の水道を止めた上で、水道メーターのパイロットが回っていれば漏水がどこかしらで起きています。
雨漏りは放置していると、柱や壁、室内の腐朽をまねくため、はやい段階で修繕しておきましょう。売るに売れなくなってしまいます。
古家となると、雨漏りや漏水が発見されてもおかしくないのです。これは売却するにあたって必要不可欠な修繕といえます。
また、高く不動産を売るうえで、クリーニングやリフォームをしておくのも一つの手段です。
クリーニングであれば、20坪から30坪のマンション、一戸建てであれば、10万円から20万円で行うことが出来ます。
さいごに
不動産を売るときに必ず知っておきたいこととして、不動産会社に支払う仲介手数料や売却時にかかる諸費用です。
最終的に受け取れる金額を把握しておかないと、共有者である夫婦や家族間で仲たがいをおこしてしまったり、決済時の段階になって慌ててしまうことがあります。
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