1.公図や登記簿、地積測量図
不動産売買をおこなう当事者は登記簿謄本(登記事項証明書)や公図、地積測量図の見方を知っておく必要があります。
個人の買主は日ごろ馴染みがないもので難解に感じてしまうかもしれません。
売買契約時に営業マンの説明を理解できない方も多いです。
1-1.公図とは
公図とは、法務局(登記所)に備えられている地図に準ずる図面のことです。
不動産売買において、土地の登記簿(所在・地番・地目・地積)だけでは土地の位置や形状はわからないため、公図が重要な資料として登記簿とともに添付されることになります。
公図は無条件に信頼される資料であるとはいえません。
法14条地図が精度の高い調査・測量の成果に基づいて作成されたものとして地図と呼ばれていて、公図は地図に準じた図面とされています。
地図の作成や備え付けが完了していない地域があり、その地域では公図を地図に準ずる図面として参考にされています。
地図に準じた図面である公図は現況と一致せず、まちがっていることがあります。
不動産売買の際には、営業マンは公図を鵜呑みにせずに、現地調査をするためにカメラ、巻尺、磁石を持参して、現況を調べます。
1-2.不動産の登記簿とは
不動産の登記簿とは、不動産に関する権利関係が記載されている帳簿のことです。
不動産の登記簿は国が管理していて、法務局に行けば誰でも登記簿の謄本(登記事項証明書)を取得することができます。
また登記情報のコンピューター化により、インターネットで登記情報の確認や登記事項証明書の取得の申請ができるようになりました。
※謄本とは
原本の内容のすべて写しに、認証文が付されたもののことです。登記事務をコンピュータで処理している登記所では、登記簿は磁気ディスクに記録されており,その内容を用紙に印刷し,証明したものが登記事項証明書です。登記簿謄本、登記事項証明書は名称が異なるだけで、証明内容としては同じです。
不動産の登記簿は1筆の土地、建物ごとに作成されています。
また登記簿の内容は表題部と権利部に区分されています。
土地登記簿の表題部には所在・地番・地目・地積が記載されています。建物登記簿の表題部には所在・種類・構造・床面積が記載されています。
権利部(甲区)は、所有権に関する事項と所有権以外の事項があります。所有権に関する事項には誰が所有者でどんな理由で所有権が移転したのか、知ることができます。
所有権以外の事項には抵当権などの担保権に関する登記、利用権に関する登記があるかどうか、知ることができます。
不動産の相続登記や所有権移転登記は自分で申請することができます。
こちらのページもご参照くださいませ。
1-3.地積測量図とは
地積測量図とは、土地の表示の登記や分筆登記、地積変更登記を申請する際に提出する図面のことです。
土地の形状や隣地との位置関係、境界などが記されています。
登記簿謄本や公図とおなじく、誰でも法務局で取得することができます。過去に分筆されたことがない土地では、地積測量図が備わっていないことがあります。
2.公図、登記簿謄本、測量図等の不動産資料をどう見ればいい?
公図や登記簿謄本、測量図は、不動産取引の資料としてだけでなく、近隣の方を調査したり境界確定をするうえで大事な不動産資料となります
2-1.不動産資料の取得
法務局に行かなくても、簡単にインターネットで登記情報や地図情報などを確認、印刷できます。
但し、金融機関でのローンを組むための提出書類等の際には、窓口や郵送で取得する必要があるかもしれません。
※インターネットで取得する
インターネットで個人、法人問わず、登記情報や公図、地積測量図、建物図面などを取得できます。
インターネットで取得した登記情報には、登記所の認証印が入っていない為、法的な証明力はありません。
インターネットで取得した登記情報でなく、金融機関から法務局で取得した全部事項証明書や登記簿謄本を提出してくださいと言われる場合があります。
地番がわからない場合には、地域の法務局出張所に電話することで、所在地を伝えて地番の照会ができます。
地番がわかれば、登記所が保有する登記情報を下記の有料サイトで取得できます。
※法務局で取得する
近くの法務局や出張所の窓口で全部事項証明書や公図、地積測量図を取得することができます。
他県の登記事項証明書でも、問題なく取得できます。
但し、登記情報を確認したいだけであれば、インターネットのほうがはやく、かつ安く取得できます。
窓口で取得する場合には全部事項証明書1通600円かかりますが、インターネットで登記情報を確認、印刷するだけであれば337円ですみます。
※郵送で取得する
法務局書式の申請書に記載の上、収入印紙と返信用封筒を同封のうえ管轄登記所へ郵送すれば、お取り寄せできます。
2-2.建築基準法の道路かどうか確認する
家を売るとき、買うときに
公図や地積測量図を確認することで建築基準法の道路に接していないと判明することがあります。
相続した実家が再建築不可だったと気付く人も多いです。
接している道路の幅員が4メートル未満の場合には、公図を取得・閲覧して役所の道路課で道路の種別を調べます。
42条2項道路などで有る場合には、セットバックをすることで建て替えができます。
未接道である場合や、建築基準法上の道路である場合には、建て替えが難しくなります。
2-3.公図はどこまで証明力がある?
公図は、明治6年から14年の間につくられた地図を基本としており、精度が高いとはいえません。
精確である法14条地図が備わっていない地域が多く、地図に準ずる図面としての公図を参考にするしかないのです。
境界確定における公図は、判決事例においても、下記のように受け止められています。
『公図は当初租税徴収を目的として作成されたという沿革的理由から必ずしも精度の高い図面ではないが、単なる私人が作成したものではなく、国家が関与して作成したものであり、かつ前記のように不動産に関する権利関係を公示する官署である登記所において閲覧の用に供されていることから、各筆の土地の位置、形状、境界線、面積等の概略を明らかにするための一応の権威ある資料として現実の不動産取引に際して広く利用されている。』 …東京地裁昭和48年5月30日判決一部抜粋
境界確定において、トラブルが有る場合には、公図だけでなく、そのほかの地図や、当該敷地や隣地の公簿面積、実測面積、有れば境界標、測量図、占有関係などを証拠によって確定することとなります。
公図とは、不動産取引や位置関係を知るうえでは重要な資料となりますが、強い証明力があるとは決して言いきれないことになります。
さいごに
中古物件等を購入を検討してる方は、販売図面だけでなく、登記簿謄本や公図、地積測量図を不動産会社からもらいましょう。
売買契約時でなく、案内時にもらって検討しておくことが大事です。
特に公簿売買の場合には、境界トラブルをかかえていないか、位置関係がはっきりしてるか、知っておく必要があります。
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