1.旧耐震基準の建物とは
建築物の耐震基準は建築基準法で定められています。現行の新耐震基準は1981年6月1日に施行されました。
1981年5月31日以前に建築確認を受けた建築物は旧耐震基準の構造ということになります。
阪神大震災や東日本大震災、また2016年に起きた熊本地震では、倒壊した建物や被害を受けた家屋の多くは、旧耐震基準の古家です。
旧耐震基準の建築物は購入時に住宅ローン控除や税金控除等の制度を活用できなく、金融機関によって住宅ローンの利用が出来ない、また長期間の住宅ローンが断られる場合もあります。
自治体による耐震診断や、耐震リフォームの補助金制度もあります。ぜひご活用してみてください。
1-1.地震大国であるわが国
日本に住んでいる限りはいつ大地震に遭遇するかわかりません。
2016年に起きた熊本地震は大地震が起きる確率が低かったエリアなのに起きました。
地震予測がどこまであてになるかわかりませんが、首都圏や東京周辺のエリアにいたっては今後30年以内に震度6以上の地震が起きる確率は70%とされています。
震度6以上の地震がくれば、建物の構造や地盤によっては、大きな被害を受けることになります。
1-2.木造住宅
数十年に一度起きる大地震では、今まで木造住宅が一番被害を多く受けてきました。
特に密集市街などにかたまっている古家は耐震基準を満たしていない建物が多いです。
現行の耐震基準では、木造住宅に対して柱や土台、梁、筋交い、軟弱地盤に対しての基礎等、構造方法や位置などがチェックされます。
1981年以前の家、無断増築をしている家、傷んでいる箇所が多い家となると、耐震リフォームの必要があります。
築年数が古いボロボロの木造住宅(2階建て)では、耐震リフォームで数百万円から1000万円レベルの費用がかかってきます。
自治体の耐震リフォームの助成金や補助金制度を活用することになります。但し、自治体の補助金は上限額や要件が有る為、制度の活用が出来ない場合もあります。
1-3.マンションやビルの問題
2015年でも、大手不動産会社が販売したマンションが傾いてしまっていて、大きなニュースや問題となりました。
調査結果では一部の杭が支持層に届いていなく、結論として全棟建物を建て替えする方向に動いています。
大手不動産会社が販売したマンションだから良かったものの、中小の不動産会社が販売したマンションや住宅品質確保促進法で定められてる瑕疵担保期間10年を過ぎてしまったマンションでは、建物に問題が見つかったとしても調査や保証をしてくれるとは限りません。
また旧耐震基準のマンションやビルであれば、耐震リフォームに数千万円かかってきます。またマンション1棟の大規模リフォームをするためには、管理組合の決議がまとめることが前提で(区分所有者及び議決権の各3/4以上)、修繕積立金が十分にある必要があります。耐震診断だけでも多額に費用がかかってくるため、個人の住宅に比べてマンションの耐震化はされていないのが現状です。
1-4.旧耐震基準の危険性
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の調査データによると平成12年5月以前の木造住宅は90%超が耐震不足ということです。
90%の内訳として、大地震が起きた際に倒壊する可能性がある建物は16.7%、倒壊する危険性が高い建物は75%となっています。
ちなみに旧耐震基準で建てられた建物の98%は問題あり(大地震が起きた際に倒壊する可能性がある建物は11.2%、倒壊する危険性が高い建物は87%)です。
東京では密集市街や旧耐震基準の木造住宅は沢山あります。大地震や首都直下型地震が起きた際には耐震リフォームをされていない旧耐震基準の家、築年数が古い家は倒壊の危険性が高いということですね。
また密集市街にある木造住宅は火事などの二次災害もうけやすいです。古い家屋は耐火構造になってない家も多く、火事の危険性も考えられます。
1-5.旧耐震基準のデメリット
旧耐震基準の建物を購入する際、売却する際にはどちらにもデメリットがあります。
購入する際にはまず、ローンや税金の控除の制度が利用できないこと、金融機関の住宅ローンが利用できない可能性もあります。
また購入した後のリフォーム費用や建て替え費用がかかります。リフォーム前提で購入を検討してる場合には、思わぬリフォーム金額がかかってくるかもしれない為、注意が必要です。
木造住宅を売却する際には、古家付き土地もしくは中古一戸建てとして売りに出すことになります。建ぺい率オーバーなどの既存不適格や再建築不可物件の場合には、売ることが難しくなります。
また旧耐震基準の区分所有マンションも、売却する際には相場よりかなり金額が落ちてしまいます。
2.所有している旧耐震基準の建物を売却する
旧耐震基準の建物を売買、売却する為には、売主は相場や売却方法を知っておくべきです。
建物の種類や現況の状態によっては、売りづらくなることもあります。
また築年数が30年、40年と経ってしまった物件は残存価値が無く、建物の状態によっては、ほぼ土地値で売ることとなります。
2-1.親から相続した物件が多い
1981年以前の土地建物を売却する方の多くは、親から不動産を相続した方です。
一戸建てなら建て替えが出来るため、古家付き土地、もしくは更地にして売りに出すことが出来ます。
これが区分所有のマンション、入居者が残っている古アパートとなると、簡単にはいきません。
旧耐震基準や既存不適格のマンションは住宅ローンも利用しづらく、買い手が限られてきます。
都心部では投資家からの需要もありますが、都心部からはずれてしまうと相場の金額では売りづらくなります。
親から古いマンションやアパートを相続した場合には、早めの売却対策が必要です。
2-2.売却がむずかしい一戸建ても有る
築年数が古くて、旧耐震基準の建物だとしても、建て替えが出来れば問題ありません。
売却がむずかしい一戸建てとは、再建築不可物件や建ぺい率オーバー等の既存不適格物件、また傾斜地、擁壁の有る土地建物等です。
まず再建築不可物件は建て替えが出来ません。新築同様に耐震リフォームをすることは新築以上にコストがかかってしまうケースが多いです。
建ぺい率オーバー等の既存不適格物件は建て替えをすると、現況よりもさらに建物が小さくなってしまいます。耐震リフォームをしたいところですが、同様にコストがかかってしまいます。
傾斜地や擁壁のある土地は地盤が弱く、擁壁の費用等が多額にかかってしまうかもしれません。
下記ページもご参考くださいませ。
«再建築不可買取~当社が再建築不可を高く買い取る4つの理由»
2-3.自治体の支援を活用した耐震診断や耐震リフォーム
自治体によっては耐震診断や耐震リフォームの支援を受けられます。
自治体の耐震リフォームを受けて、土地建物を有効活用できます。但し自治体によっては、耐震リフォームの支援を受けられる要件がさだめられています。
個人所有の方(法人はNG等)、住宅として使用をする(収益物件はダメ)、税金を払っていること、上限金額、築年数や接道状況など、自治体ごとに支援の要件は異なりますので自治体のホームページをチェックしましょう。
下記サイトをご参考くださいませ。
2-4.マンションやビルなどのRC造
築年数が古い中古の区分所有マンションでは管理体制が非常に大事です。
修繕積立金は十分か、修繕計画や修繕履歴がしっかり保存されてるかどうか、区分所有のマンションは耐震メンテナンスや将来の建て替え計画を考慮しないといけません。
さいごに
当社では旧耐震基準の土地建物の売買の実績が多数ございます。
また、再建築不可物件や傾斜地にある擁壁物件等、東京都内に限らず、売買がむずかしい物件の直接買取も行っております。
旧耐震基準の土地建物や古家を売却したい方はお気軽に当社までご相談くださいませ。